宗教融和アピール かくれキリシタンの聖地で「サン・ジワン枯松神社祭」

宗教の違いを超え合同で先祖に祈りをささげた枯松神社祭=長崎市下黒崎町

「かくれキリシタンの聖地」といわれる長崎市下黒崎町の枯松神社で3日、「第20回サン・ジワン枯松神社祭」(実行委主催)が開かれた。24日に来崎するローマ法王フランシスコの歓迎を掲げ、かくれキリシタン、カトリック、仏教徒が3年ぶりに合同開催し、宗教融和をアピールした。

 黒崎は禁教期に「潜伏キリシタン」が信仰を守った地域。神社祭は、明治時代の信仰解禁後に分かれた各宗教の融和を図ろうと2000年から開催している。カトリック黒崎教会は行事負担が重荷になっていることなどを理由に17年から参加を取りやめていた。

 今年は宗教間対話を重視する法王が38年ぶりに来崎することもあり、黒崎教会が3年ぶりに参加した。約100人の出席者は、禁教期の指導者「サン・ジワン神父」や潜伏キリシタンだった先祖に感謝の祈りをささげた。

 祭では、黒崎教会の橋本勲主任司祭(77)が「違いがあっても一つになれるというメッセージを世界に発信しよう」と呼び掛けた。禁教期に潜伏キリシタンを黙認して保護したとされる天福寺(同市樫山町)の塩屋秀見住職(66)も「互いの宗教を認め合った歴史が250年も続いたことは誇りだ」と強調した。

 黒崎かくれキリシタンの帳方(指導者)、村上茂則さん(69)は先祖代々伝わるオラショ(祈り)を奉納した。カトリック長崎大司教区の野下千年神父が作詞作曲した法王の歓迎歌も披露された。

 法王が執り行う県営ビッグNスタジアム(同市松山町)のミサに招待されている村上さんは「私たちの存在を認めてもらい感謝している」と出席する意向を示した。

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