死亡事故の米艦帰港 タンカーと衝突、修理後初の洋上試験

洋上試験を終え、会見する米海軍イージス艦「ジョン・S・マケイン」のライアン・イースターデイ艦長=横須賀市の米海軍横須賀基地

 シンガポール沖のマラッカ海峡で2017年8月、タンカーと衝突して乗組員10人が死亡する事故を起こした米海軍のイージス艦「ジョン・S・マケイン」が3日、修理後初の洋上試験から米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に帰港した。

 同基地で開いた会見で、ライアン・イースターデイ艦長は「人員の増員など、事故防止に向けた数多くの取り組みを行っている」と説明。「訓練を重ねることで安全に運航する能力を高めたい」とした。同艦は1994年に就役し、97年に同基地に配備された。2017年の事故後は約2年かけ同基地で修理を実施。今年10月28日に同基地を出港し、日本近海の数カ所で艦内の連携を確認する洋上試験を行っていた。

 事故を巡っては、18年に開かれた軍法会議で当時の艦長が職務怠慢の罪で有罪となり軍を引退。米海軍が作成した調査報告書では、周辺海域の海上交通が混雑していた中で状況把握が不十分だったことや、衝突を回避するための航行上の国際ルールに従わなかった点などを踏まえ、「回避できた」と指摘している。同艦は数週間後に基礎訓練のため再び同基地を出港する。その後も複数回の洋上試験を経て必要な全ての資格を取得し、艦隊の任務に復帰するという。

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