福岡空港に近い24時間診療の歯科医院を見詰める! 11.8のNHK「ドキュメント72時間」

NHK総合で放送中の「ドキュメント72時間」(金曜午後10:50)。2013年から続くドキュメンタリー番組で、毎回、特定の場所に焦点を当て、そこを訪れる人々を72時間=3日間、見詰めている。

その11月8日放送分は「福岡 泣いて笑って24時間歯医者」と題して、NHK福岡放送局が制作を担当。福岡空港のすぐそばにある、年中無休で24時間診療の歯科医院が舞台だ。そこには「歯が痛い」だけではない、患者それぞれの事情があった…。ナレーションはムロツヨシが務める。

制作を担当したNHK福岡放送局のディレクター

▼過去に福岡局が制作したことは?
「福岡では過去に、神社や屋台、ラーメン店、居酒屋、保育園、不動産店などの回で、番組の撮影を行っています。制作は、番組専属のスタッフが担当するものと、福岡局のスタッフが担当するものとがあります。福岡局の制作では、今年3月放送の『福岡・早春の不動産屋で』が直近です。私も当日は補助として、撮影に携わりました」

▼企画の発端
「過去に別のテーマを取材している時に『歯の状態がいい』とは言い難い子どもたちに出会いました。聞けば、家に帰っても食事がないため『菓子パンばかり食べている』や『歯磨きの仕方を教えてもらったことがない』といった声がありました。こうした経験から『歯には育った環境や生活、つまりその人の“人生”が映し出されるのではないか』と勝手に思うようになり、それが見える現場がないかと考え、思い浮かんだのが今回の舞台の24時間歯医者です。1日の患者数が一般の診療所の6倍近くあり、さらに来院する時間帯によって(来院者の)仕事や生活リズムなども分かるのではないかと考え、企画を提案しました」

▼72時間定点観察の難しさ
「『時間』を描く番組であるため、1日目、2日目、3日目と、徐々にその人自身や人生の深みを描いていく必要があります。それを日常的な『歯医者』という場所で描く難しさはありました。『歯が痛くなったから』や『定期的なメンテナンスにきている』(といった一般的な理由)から、どうその人の人生を描けるか。苦心しましたが『歯』は人生を充実させるため、より楽しく過ごすために不可欠なものであることは間違いないし、ないよりはあったほうがいい。そんな歯に対して人は一体、どんな後悔があるのか、どんな希望や夢を持っているのかを意識して取材。私ともう1人のディレクターが(取材対象が24時間診療だったため)本当に72時間、聞いていきました」

▼医療現場での撮影に対する感想
「プライベートスペースとも言われる口の中の治療という、他の医療機関とは異なる歯医者特有の事情から、撮影の難しさはありました。特に若い女性の場合は顕著で『恥ずかしい』『口の中は嫌だ、見られたくない』という、ごもっともな反応が…。けれども全体としては予想以上に、いろんな方が楽しく面白い話を語ってくれました。そのため『緊張感や深刻な空気が漂う医療現場』というよりは、(医療現場)らしからぬ(?)、笑いが絶えない撮影になったと感じています」

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