現職平塚市議を刑事告発 市、個人情報持ち出し疑いで

不正に入手した個人情報を選挙活動で利用した可能性があることを会見で認める渡部亮市議=平塚市役所

 4月の平塚市議選で初当選した渡部亮市議(40)が市民の個人情報を不正に持ち出し選挙運動に使ったとされる問題で、同市は5日、市個人情報保護条例違反の疑いで神奈川県警に刑事告発し、受理されたと発表した。同市が現職市議を告発するのは過去に例がないという。

 市は告発理由について、市教育委員会スポーツ課に所属していた渡部氏は、選挙用運動はがきを作成・発送するため職務上知り得た個人情報を盗用した、としている。

 市などによると、渡部氏は昨年、庁舎内のネットワークから2度にわたり市民の個人情報など計約3万2千件のデータをUSBメモリーなどに複写し、不正に持ち出したとされる。データには氏名や住所、口座番号が含まれ、少なくとも市民2人に渡部氏から選挙はがきが送られていた。

 落合克宏市長は5日、「決して許される行為ではなく、法令違反に厳正に対応することは地方公共団体の責務。本人が説明責任を果たすべき」とコメント。渡部氏は「盗用した事実はない。詳細が分からないのでこれ以上は話せない」とした。

 市条例では、職務上知り得た個人情報を自らの不正な利益のために利用した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されると定めている。

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