「理解」「ケア」大切に 不登校の「親の会たんぽぽ」30年 提唱者の広木さん講演

たんぽぽの30周年記念行事で講演する広木さん=長崎市、県勤労福祉会館

 不登校やひきこもりの子を持つ親を支援する「親の会たんぽぽ」(古豊史子代表)の30周年記念行事がこのほど、長崎市桜町の県勤労福祉会館であった。たんぽぽ提唱者で神戸大名誉教授の広木克行さん(74)は講演で、学校に行けず家庭に助けを求める子に対し「親の『理解』と『ケア』を大切にしてほしい」と話した。
 広木さんは臨床教育学の専門家で、1989年11月に発足したたんぽぽの前身組織「登校拒否を考える親の会」を呼び掛けた。講演では、不登校当事者と非当事者の間で「理解の落差が大きい」とし、要因として不登校の定義が「30日以上の欠席」と形式的に理解されているためと指摘した。
 不登校に関して「心のもつれによる苦悩と葛藤によって家庭に助けを求めている子ども」という認識を広げる必要性を強調。「子に必要なのは理解とケア。親が子の話を丁寧に聞き真剣に向き合うことで、信頼感を崩さずに困難を越えることにつながる」と述べた。 教育現場の変化で、現在の不登校には当事者の若年化や中高一貫校生徒の増加という特徴があることも紹介した。
 約80人が参加。講演のほか、たんぽぽのスタッフ5人が不登校やひきこもりと向き合う自身の経験を語った。

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