「確実なデータ検証を」 千々石ミゲル研究・顕彰会 歴史講演会 活水女子大・下川教授 墓所調査で指摘

ユーモアを交えて歴史との向き合い方を語った下川教授=諫早市多良見町、市のぞみ会館

 天正遣欧使節の一人、千々石ミゲルの墓所推定地の発掘調査に携わった市民でつくる研究・顕彰会(立石暁会長)の歴史講演会がこのほど、諫早市内であった。講師の下川達彌・活水女子大特別教授は発掘調査について「確実な基礎データを基に疑問点をチェックしながら調査の方向性を検討してほしい」と指摘した。
 顕彰会はこれまで3回、墓所推定地の発掘調査を実施。キリシタン遺物とみられるガラス玉などが出土した。市文化財保護審議会は10月23日、墓所推定地を含む市内のキリシタン関連遺跡の調査を市教委に答申。下川教授は同審議会の副会長を務めている。立石会長が冒頭、答申に至る経過を説明し、今後の調査進展に期待を寄せた。
 講演のテーマは「歴史を面白く読む」で、約70人が聴講。下川教授は「歴史を構成するのは伝統、記述、記念物の3要素。これが正しいのか、根源や裏側から検証し、時代とともにどう変容し、現代に残っているのか。その違いを見つけることが面白い」と助言した。その上で「歴史調査は、その時点で分かっている事実から考え、推測の中で断定しない。願望だけでは真実の歴史は生み出せない」と述べた。

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