「温和な人柄」にじむ遺作展 難病と闘った画家・大塚さん

大塚晴康さんの遺作展を開いた妹の啓子さん=ギャラリーしみず

 筋ジストロフィーの画家大塚晴康さん(享年82)の遺作展が、ギャラリーしみず(横浜市中区)で開かれている。全身の筋力が衰えていく難病と闘いながら、生涯にわたり描いた風景画などの油絵や水彩画、デッサン画など約100点が展示・販売されている。10日まで、入場無料。

 大塚さんは13歳のときに筋肉が次第に萎縮し、運動機能が失われていく筋ジストロフィーと診断された。絵を描くことが好きだったことから、20代で国画会会員の故・中村好宏さんに師事。30代で車いすで生活するようになり、病気が進行してからも絵筆を振った。

 横浜市総合リハビリテーションセンター(同市港北区)の協力を得てキャンバスを上下左右に操作できる電動イーゼルや、手にした筆先を自在に動かす電動上肢装具を使って絵を描き上げた。年に1、2回は個展を開いたほか、幼稚園児や多くの人に絵画指導を行い、後進を育て上げた。

 妹の大塚啓子さん(77)によると、晴康さんは今年3月6日に亡くなった。「兄は、絵を描くことで人生を見つめることができ、人生を豊かにしてくれたと話していた。温和で魅力的な人柄が多彩な絵にも表れている」としのぶ。

 午前11時~午後6時(10日は午後4時まで)。問い合わせは、同廊電話045(251)6177。

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