42軒で温泉供給再開、大涌谷の設備復旧 台風被害の箱根

土砂崩れの影響で配管損傷などの被害を受けた温泉供給会社の設備=31日午前9時40分ごろ、箱根町

 台風19号で深刻な被害が出た箱根町で、温泉の供給が止まっていたホテルや旅館など99軒のうち42軒への供給が再開されたことが7日、明らかになった。土砂崩れなどで損壊した大涌谷の設備が復旧し、供給が途絶えたままの宿泊施設は町内265軒の2割ほどに減少。残る57軒も今月中旬の再開に向けて準備を進めているという。

 箱根DMO(町観光協会)が確認したところ、大涌谷などに供給設備がある温泉供給会社3社のうち、1社の復旧作業が進展。供給がストップしていた強羅と仙石原エリアの42軒に供給できるようになった。残る2社も復旧作業を急いでいる。

 強羅では、宿泊施設の半数近くで温泉が届くまで改善された。途絶えている57軒の大半は、他の源泉から温泉を運んだり別の施設から提供を受けたりして営業を続けているという。

 強羅のある旅館は、大浴場で温度60度弱の温泉を掛け流しで提供できるようになった。経営者の男性は「予定より早く再開できてうれしい。お客さんからの問い合わせも多かったので、これで一安心だ」と話した。

 記録的大雨に見舞われた台風19号の通過から1カ月近く。町内では土砂崩れやボイラーの浸水といった被害で、現在も宿泊施設5軒が休業を余儀なくされているという。同協会は「強羅での供給再開は一歩前進。さらに復旧が進むことを期待し、しっかり準備していきたい」としている。

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