【プレミア12】侍ジャパンが3連勝突破で得た先発ローテの選択肢「色んなことができる」

侍ジャパンの稲葉監督【写真:Getty Images】

稲葉監督は3試合の収穫として「投手陣でしょう」と即答

 5日から台湾で行われていた「第2回 WBSCプレミア12」(テレビ朝日系列で放送)オープニングラウンドB組。優勝を目指す野球日本代表「侍ジャパン」は初戦のベネズエラからプエルトリコ、チャイニーズ・タイペイを相次いで撃破し、グループ首位でスーパーラウンド進出を決めた。

 第1戦は終盤までベネズエラにリードを奪われながら、8回に相手のミスと7つの四球に乗じて6点を奪って大逆転。ヒヤヒヤの勝利ながら初陣をモノにした。第2戦のプエルトリコ戦は3回に相手のミスで先制点を貰い、4番の鈴木誠也外野手(広島)が3ランを放ってリードを広げた。先発の高橋礼投手(ソフトバンク)が6回2死までパーフェクトピッチングを展開し、6回1安打無失点と快投。リリーフ陣も無失点で繋いで完封リレーで完勝した。

 ともにスーパーラウンド進出が決まり、この試合結果がスーパーラウンドまで引き継がれることになったチャイニーズ・タイペイとの第3戦。初回に鈴木、吉田の連続適時打で先制し、3回には鈴木が2戦連発の2ラン。序盤でリードを奪うと、先発の今永昇太投手(DeNA)、2番手の大野雄大投手(中日)ら投手陣も相手打線に反撃を許さず。9回に山本由伸投手(オリックス)が1点こそ返されたものの、完勝だった。

 辛勝あり、完勝あり、圧勝ありのオープニングラウンド3試合。まずは3連勝でスーパーラウンド進出を決めて、侍ジャパンは最初の関門を突破した。この3試合を総括した稲葉篤紀監督は、収穫を問われると間髪入れずに「投手陣でしょう」と言い切った。

 この3試合、初戦のベネズエラ戦こそ4失点こそしたものの、プエルトリコ、チャイニーズ・タイペイ戦では相手打線をしっかりと封じた。プエルトリコ戦はピンチらしいピンチもなし。チャイニーズ・タイペイ戦は同じ11安打を許し、再三、走者を背負ったが、それぞれが粘りの投球を見せて得点を与えなかった。

先発は球数少なく降板、建山コーチは「色々なことができる」

 指揮官は「この3試合を見ても四球は少ないですし、それぞれが持ち味を出してくれた。ピンチを背負っても冷静に対処してくれていた。投手はもともとみんないい。このまま継続してやってくれればいい」と評価した。ベネズエラ戦は2四球、プエルトリコ戦は1四球、そしてチャイニーズ・タイペイ戦は無四球。味方打線が四球から攻撃の足がかりを何度も作っていることを考えれば、投手陣の四球の少なさが盤石ぶりを下支えしていると言える。

 大きかったのはこれだけじゃない。3連勝しながら、先発した3投手がいずれも少ない球数で降板した。山口俊投手が78球、高橋が73球、そして今永が64球。スーパーラウンドが始まるのは11日。仮に5日に投げた山口が初戦先発、6日の高橋が第2戦先発となっても中5日ある。十分に登板可能な球数で投げ終えた。

 建山義紀コーチは「先発投手はもう少し投げられたけど、球数が少ないことで短い間隔で投げられる。色々なことが出来る。よくやってくれたと思います」と納得の表情だった。第3戦では点差が開いたことで、発熱で調整の遅れていた岸孝之投手(楽天)にも登板機会を与えられた。

 スーパーラウンドは6日間で4試合。決勝を含めると7日間で5試合を戦う。ここからはオープニングラウンド3試合で先発した山口、高橋、今永に加え、大野と岸も先発の候補に加わることになる。スーパーラウンドの初戦で先発した投手であれば、中5日で決勝に投げることも可能だ。

 オープニングラウンド通りに山口に初戦を託し、中5日で決勝へ向かわせるのか。改めて国際舞台での強さを発揮したサブマリンの高橋を中4日で初戦に起用し、決勝に向かわせることも可能だろう。オープニングラウンド3試合。侍ジャパンは投手陣に対する手応えとともに、スーパーラウンドと決勝を見据えた数多くの選択肢を手にすることもできた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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