「子ども亡くした親はどんな気持ちと思うか」遺族が被告の女に質問 大津園児事故公判

閉廷後に会見した被害者側の代理人弁護士(12日午後、大津市内)

 大津市大萱6丁目の丁字路で5月に保育園児の列に車が突っ込み園児ら16人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などの罪に問われた被告の無職女(53)の被告人質問が12日、大津地裁(大西直樹裁判長)で開かれた。被害園児の両親ら16人が被害者参加制度を使って参加し、遺族らが「子どもを亡くした親はどんな気持ちでいると思いますか」などと、事故に至る経緯や心情を問うた。

 2歳の男の子を亡くした父親は法廷で「事故を起こしたことを、あなたの娘さんにどのように話しましたか」「運転をしなければよかったという思いはありますか」など質問した。
 2歳の女の子を亡くした父親は、被告が事故後の心情について「自分のやったことの大きさを考えると、気持ちが沈んだ」と述べると、遺族は「自分の気持ちが沈んだりするのはあなたですか、それとも被害者ですか?」「子どもを亡くした親はどんな気持ちでいると思いますか」と質した。
 また別の被害園児の保護者は、一部の供述が変遷していることについて「事実がどこにあるのか分からず、あなたがわたしたち被害者を混乱させているとの自覚はありますか」と尋ねた。
 被害者参加による質問に先立つ弁護側の質問に対し被告は「車は週1回程度運転していた。当日は自宅へ向かう途中だった。自分勝手な運転だった。(前方不注意につながった)考え事の中身が思い出せない。園児は視界に入った。謝罪をしたい」と述べた。
  大津地検は10月、ストーカー規制法違反と脅迫、強要未遂の罪で女を追起訴し、地裁は自動車運転処罰法違反罪との併合審理を決定した。この日は追起訴分の起訴状朗読と冒頭陳述があり、女は「間違いありません」と内容を認めた。
  起訴状によると、5月8日午前10時14分ごろ、女は乗用車を運転中、確認を怠って右折し、対向の軽乗用車と衝突。はずみで軽乗用車を、歩道上で信号待ちをしていた園児ら16人の列に突入させ、いずれも2歳の園児2人を死亡させ、園児と保育士計14人に重軽傷を負わせた。また、保釈中の8~9月、事故後に出会い系サイトで知り合った40代男性をSNSで脅迫した、などとしている。
 

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