長島哲太、継続参戦を発表していたSAGと契約解消。2020年はKTMアジョに電撃移籍しMoto2参戦

 11月12日、ロードレース世界選手権のMoto2クラスに参戦するONEXOX TKKR SAG Teamは、2020年シーズンのライダーラインアップを変更することを発表した。9月には長島哲太を継続起用することを発表していたが、契約を取り消すこととなった。また、15日にMoto2クラスに参戦するレッドブル・KTM・アジョが長島を起用することを発表した。

 長島は、2013年の第17戦日本GPでMoto2クラスデビューを果たした日本人ライダー。2014年からは本格的にMoto2クラスに参戦するが、2015年は一度CEV Moto2ヨーロッパ選手権へと戦いの舞台を移す。

 2016年は移籍したアジョ・モータースポーツ・アカデミーからCEVのMoto2クラスに参戦するとロードレース世界選手権のMoto2クラスにも2度出場した。

 2017年は、本格的にMoto2クラスに復帰しSAG(ストップ・アンド・ゴー)レーシングチームからエントリー。2018年はイデミツ・ホンダ・チーム・アジアに移籍し参戦した。

 2019年シーズンからは、古巣のSAGレーシングチームに戻ってMoto2クラスに参戦し、チームメイトとなるレミー・ガードナーとともに2年契約を締結していた。さらに、今年の9月には、チームはが改めて2020年のライダーラインアップが長島とガードナーであることを明かしていた。

SAGレーシングチームからMoto2に参戦するカスマ・ダニエル・ビン・カスマユディン

 しかし、SAGレーシングチームは12日に、来季の起用を予定していた長島と契約解消の合意に至り、ライダーを変更すると発表。ライダーは、2019年シーズンにCEV Moto2ヨーロッパ選手権とアジアロードレース選手権のSS600クラスにダブルエントリーしていたマレーシア人のカスマ・ダニエル・ビン・カスマユディンで、来季から3年間契約を結んだことを明かした。

 長島がSAGレーシングチームと契約解消に至った要因は、KTMの2020年ラインアップが大幅に変更されたからだろう。MotoGPクラスのレッドブルKTMファクトリー・レーシングから来季も継続参戦する予定であったヨハン・ザルコがKTMを1年限りで離脱することが決まったのが8月のことだ。

 10月には、空いたザルコのシートにレッドブルKTMテック3から同クラスに参戦する予定であったブラッド・ビンダーが就き、レッドブル・KTM・アジョからMoto2クラスに参戦予定だったイケル・レクオーナが、ビンダーが獲得していたレッドブルKTMテック3のシートに収まり最高峰クラスに昇格することとなった。

 そのことにより、8月1日に、来季は2019年から2年契約を交わしたホルヘ・マルティンとイケル・レクオーナを起用することを発表していたMoto2クラスのレッドブル・KTM・アジョの1席が空白に。その1席にSAGレーシングチームと契約解消した長島が移籍することになったのだ。

 15日の発表の通り、長島は2020年にスタートするKTM GPアカデミーの一員になり、レッドブル・KTM・アジョに電撃移籍する。

長島哲太(ONEXOX TKKR SAG Team)

 長島は「今回の移籍についてとても興奮しています。今年は多くの改善ができ、特にサマーブレイク後はたくさん予選でトップ5に入ることができましたが、レースでは何度か小さな問題があったので、表彰台を獲得することができませんでした」とシーズンを振り返ると、古巣のチームに復帰することについてコメントした。

「僕はパドックでベストなチームのひとつに移籍します。アキ(・アジョ)のことと、彼が2016年からどのように仕事をしていきたかを知っています。僕が彼のアカデミーチームに入った時たくさんのことを学びました」

「Moto2ではライダーの技術が拮抗しているのでギャップはとても小さく、トップ5と6の間で0.1~0.2秒タイム差しかありません。個々に改善する方法を見つけるのは難しいかもしれませんが、このチームとともに小さなステップを踏むことができると思います。2020年に向けてとてもモチベーションを高く持っています」

 チームマネージャーであるアキ・アジョは「2020年に向けてすべてのことが決まったことをとても嬉しく思っている。すでにヘレスでの最初のテストに向けてモチベーションを高く持っている」と以下のように語る。

「Moto2で、ホルヘ(・マルティン)とテツ(長島)というほんとに力強いラインアップが揃った。なぜなら、ふたりのライダーは今シーズン大きなステップアップを果たしたからだ。特に彼らふたりはシーズン後半にトップ10に近いポジションにいた。彼らがテストを開始すると我々は正しい方向に進んでいると感じるだろう」

長島哲太(ONEXOX TKKR SAG Team)

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