依存症や資金洗浄 具体的対策求める 佐世保・IR誘致の問題点議論

IR誘致のメリットとデメリットについて意見を交わしたパネル討論=佐世保市、中部地区公民館

 長崎県弁護士会は16日、佐世保市光月町の中部地区公民館で、県と同市が進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致のメリットとデメリットを考えるシンポジウムを開き、パネル討論で経済波及効果やギャンブル依存症、マネーロンダリング(資金洗浄)などの問題点を議論した。
 市民ら約70人が参加。討論では、IR整備法案の国会審議で参考人として意見陳述した阪南大の桜田照雄教授や、宮崎県弁護士会ギャンブル依存症対策特別委員会の塩地陽介委員長、「カジノ誘致問題を考える市民の会」の山本了三事務局長が意見を述べた。
 長崎県は2018年に発表した基本構想でIR誘致の経済波及効果を九州圏内で計約6300億円と試算しているが、山本氏は「足元の佐世保にどれほどの効果があるのか」と疑問視。塩地氏はギャンブル依存症の病状などを説明し、「実効性ある対策を早急に具体化するべきだ。現状は皆無に等しい」と指摘した。
 桜田氏は、カジノを介したマネーロンダリングが横行し、治安が悪化すると懸念。「住みよい町づくりの理念に反する。反対運動をするべきだ」と述べた。

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