不当残業の常態化、給料は2カ月に一度… SNSで助け求めた外国人技能実習生

© 株式会社長崎新聞社

縫製工場での勤務実態を話すカンボジア人技能実習生の2人=6月、佐賀県内

 外国人技能実習生に対して雇用主が適正な賃金を支払わなかったり、無理な残業を強いたりするケースが長崎県内でも一部で横行し、失踪の原因になっている。不当な扱いを受けた外国人労働者を保護する佐賀県内の「シェルター」で実態を取材した。
 6月のある日。長崎県内の縫製工場で働いていた20代と30代のカンボジア人女性2人が職場から逃げ出した。度重なる不当な残業や賃金未払いなどが理由。2人が向かったのは佐賀県内のシェルターだった。
 支援者の越田舞子さんが手探りで設けた外国人の一時保護施設。いわば「駆け込み寺」だ。女性2人は、先に入所していたベトナム人2人と共同生活を始め、落ち着きを取り戻した。越田さんは「言葉もよく理解できない子たちをだますのは許せない」と憤る。
 カンボジア人2人は2017年3月、技能実習生として来日。長崎県内の縫製工場で働き始めたが、残業が常態化。彼女たちが毎日書き留めた日記によると、朝から午前2時まで勤務したこともあった。給与は寮費などが引かれ、2カ月に1度、3万~10万円。2年間の支給総額は197万円。
 2人は実習生のネットワークで越田さんの存在を知り、フェイスブックを通じて助けを求めた。越田さんはすぐに監督機関「外国人技能実習機構」(東京)に通報。同機構と労働基準監督署の立ち入り調査が入り、会社側は8月、2人に未払い賃金約150万円を支払った。
 越田さんによると、2人は受け入れ窓口となる監理団体にも相談したが、同団体がまともに取り合わなかった節がある。取材に対し同団体は「言葉の問題でうまく通じていなかったかもしれない」と説明したが、越田さんは「実習生を受け入れる会社や監理団体へのチェック機能が十分ではない」と指摘する。
 同機構がホテルや旅館の一室をシェルターとして活用し、実習生を一時保護する仕組みもある。同機構によると、食事提供のほか、必要に応じて交通費や医療費を支給し、機構が新たな実習先も探す。機構が設置された17年1月から今年6月までに約30人を保護した。
 国として一応の保護態勢は整えているが、「失業手当の申請など生活支援までは行き届いていないのが実情。言葉の分からない子たちにはそこが大事なんです」と越田さん。
 入所直後、カンボジア人の女性2人は取材に「オーダーメードの服を作る店を母国で開きたい」などと夢を語った。しかし、4カ月後の10月。2人のうちの1人が失踪した。
 彼女は失業手当の受給期間(90日間)が切れ、お金に窮していた。ただ無断で働けば不法就労になる。それでも、金を工面しなければならない事情があったのか。彼女の行方は今も分かっていない。