観光振興に「食」を活用 長崎県、来年度から 魅力向上へ官民連携

食を生かした観光振興などをテーマに意見交換した県観光審議会=長崎市築町、メルカつきまち

 長崎県観光審議会(会長・井上英也長崎国際大教授、16人)の会合が15日、長崎市内であり、県は来年度、市町や地域の観光関係者、生産者らと一緒になって「食」を生かした観光振興に力を入れる方針を示した。地域の食材を掘り起こし、食文化を発信するイベントなどを展開し「食」の魅力を発信する。
 中崎謙司文化観光国際部長は、昨年度の県の観光客調査を基に、本県観光で充実したらいいと思うもので「長崎の魚をおいしく食べられる場所」が1位だったと説明。食材や地域性豊かな料理が各地にあるのに情報発信が不十分で観光に生かせていないとして、飲食店や宿泊施設、ガイド団体、農協、漁協、交通事業者、自治体などと連携して、観光地としての魅力向上を図る施策を示した。
 具体的には市町と連携して希少な食材のブランド化を推進し、ホテルのシェフらを産地に招いて地域食材の利用を促進。県産食材の情報をデータベース化する。
 また博物館など文化施設で本県ならではの食文化を味わうイベントを実施し、地域の文化と食のコラボレーションを試みる。宿泊施設や飲食店とも連携して、地域食材を利用した高級料理の提供や、食の体験を含めたツアーを企画する。
 委員からは「地域の食事は祭りや行事と密接に交わっている。食と文化を融合させた観光振興に取り組んでほしい」「SNS(会員制交流サイト)での情報発信に力を入れてほしい」などの意見が出た。
 県は審議会の意見を参考に、「食」に関する市町や事業者の取り組みについて補助制度を見直して支援を検討するという。

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