ミューザ川崎天井崩落訴訟 川崎市が上告を断念

東日本大震災の影響で天井仕上げ材などが落下したミューザ川崎シンフォニーホール(2011年8月)

 2011年の東日本大震災でミューザ川崎シンフォニーホールのつり天井の一部が落下したのは施工不良が原因だとして、川崎市が建築主の都市再生機構(UR)と清水建設など施工業者7社に約20億5千万円の損害賠償を求めた訴訟で、川崎市は20日、請求を退けた東京高裁判決について上告を断念すると発表した。

 福田紀彦市長は「上告しても有利な結果を得られる可能性が極めて低いという現実的な判断から断念した」とコメントした。

 18年5月の一審横浜地裁判決は「建物の基本的な安全性を損なう瑕疵(かし)はない」と判断し市側の請求を棄却。今月7日の高裁判決もこれを支持し、市側の控訴を棄却していた。

 同ホールを本拠地とする東京交響楽団と所属演奏家も、公演会場の変更を余儀なくされたため不必要な経費負担や逸失利益があったとして、UR側に約1億4千万円の損害賠償を求めていたが、同様に上告を断念した。

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