【誰か教えて!】”ゴアテックス”以外にも色々な素材があるけど、結局何が違うの?! 登山のギアの中でも「アウターが好き!」という方は多いのではないでしょうか。いろんなアウターを見ていると、ついつい新しいのが欲しくなっちゃいますよね。でもゴアテックス製品は高いし手が出せない…というあなたにおすすめなのが『メーカー独自素材』を使ったアウターです。各社が採用している素材は特徴もさまざま。自分のスタイルにピッタリな素材が見つかれば、登山がもっと楽しく快適になりますよ!

『アウター』が欲しい!どうしようもなく欲しい!でも…

雨天や強風時、稜線上などでレイヤリングの一番外側に着る『アウター』レイヤー。
アウトドアブランドから続々と新作が登場し「新しいアウターが欲しくてたまらない!」という方も多いのではないでしょうか。

でも定番のゴアテックスは高額ですし、なかなか手が出せませんよね…
そんな時は、『メーカー独自素材』のアウターも候補に入れてみませんか?
※)この記事では、レインウェアを含む防水透湿性のあるウェアを「アウター」として紹介しています。

いろんな素材がありすぎて、何がなんだかよくわからない…

メーカー独自素材の特徴は、ゴアテックスに比べてコストが抑えられていることが多く、またそれぞれの素材ならではの持ち味があること。
ただ現在いろんなメーカーからさまざまな種類が登場しており、「なにがどう違うの?」「どれが自分に合ってるかわからない…」というのが正直なところではないでしょうか。

ということで、各メーカーが採用しているアウター素材をまとめてみたいと思います!

アウターの役割は、濡れを防いでムレを解消させること

と、その前に、まずはアウター素材の簡単な知識について覚えておきましょう。
アウターには大きな役割として<防水性><透湿性>が求められます。

<防水性>「雨」や「雪」などの外的な濡れから身を守ること
「どれだけの水に耐えれるか」を数値化したものを『耐水圧』と言い、○○○mmという単位で表されます。

<透湿性>衣服内の汗やムレを外へ放出すること
「汗が外へ出る度合い」を数値化したものを『透湿度』と言い、その性能は、生地が24時間に放出した水分量(g/㎡・24hrs)で表します。

ゴアテックスは【耐水圧数45,000㎜以上、透湿数13,500g/㎡・24hrs以上】あるとされていますが、基本的に【耐水圧数10,000㎜以上、透湿数10,000g/㎡・24hrs以上】があれば、アウターとして必要な基準は満たしていると言えます。
メーカーによってはこれらの数値を公表していないところもありますが、有名アウトドアメーカーはこの基準をクリアしていると考えて良いです。もちろん登る山や気象状況によっても変わってきますが、一つの目安として考えておきましょう。

アウターの生地はどういう構造?

素材は「メンブレン」と呼ばれる防水透湿性素材が中核を成し、そこに別の生地を張り合わせたりコーティングをすることで形成されています。これには【2層】【2.5層】【3層】の3つのパターンがあり、一般的には層(レイヤー)が上がるほど、強度や重量が上がり、雪山などのハードユース向けのモデルになることが多いです。

それでは、素材の紹介に入っていきましょう。

自分に合うのはどれ?

各メーカーのアウター素材をまとめてみた

今回は5メーカーの中から特徴のある6種の素材をセレクトしました。
各メーカーからさまざまな種類の素材が登場しているため、ここでは紹介しきれないものも多数ありますがご理解ください。

【ノースフェイス】フューチャーライト

  • 耐水圧数: 未公表
  • 透湿数: 未公表
  • 参考価格: 約35,000〜77,000円

『フューチャーライト』は、ノースフェイスから2019年10月に発売された3層構造の新素材。
登場したばかりなので機能に関しては未知な部分も多いですが、ノースフェイスが「市場を広げていく」と公言していることから、自信の表れが感じられます。
現段階では商品バリエーションは少なめですが、今後の展開に期待です!

フューチャーライトのおすすめポイント

①「防水透湿性」に「通気性」が加わった、”超”快適素材
独自技術により、従来のノースフェイスのアウター素材にはなかった「通気性」を搭載。高い防水透湿性に通気性が加わることで、さらに高次元の快適さが実現されました。衣類内のわずらわしさを極限まで解消してくれる素材です。
②激しい動きにも対応
素材そのものの薄さと独自の接着技術により、「軽くて柔らかくストレッチ性に優れている」というのが特徴。またクライミングなどの激しい動きにも耐える強度も併せ持っており、どのような登山シーンでも活躍が期待できます。
③用途に応じたチョイスができる
アルパインクライミング・冬山登山に適した「サミットシリーズ」、バックカントリースキー&スノーボードでのしなやかな動きを追求した「スティープシリーズ」、軽量性と透湿性に特化した「フライトシリーズ」を展開中。高機能素材を、自分のスタイルに応じてさらに使い分けることが可能です。

【ノースフェイス】HyVent(ハイベント)

  • 耐水圧数: 未公表
  • 透湿数: 未公表
  • 参考価格: 約20,000〜35,000円

ハイベントはノースフェイスの2層構造の防水透湿性素材で、フューチャーライトよりも以前から展開されています。
製品としては初心者〜中級者向けのモデルが多いながらも、裏地をPUコーティングにすることで、高い耐水性と透湿性を実現。
軽量性と防風性、その着心地にも定評のある人気の素材です。

ハイベントのおすすめポイント

①生地が柔らかく、着心地がいい!
<アウターウェアは重くガサガサしているイメージが強いですが、『ハイベント』はソフトな着心地が特徴。「ちょっと寒いな…」という時にサッと取り出し、着用しながらの行動にもストレスがありません。
②リーズナブルな価格で手に入る
値段が高めな印象の強いノースフェイスブランドですが、「ハイベントレインテックス」はリーズナブルな価格設定が多いのも魅力的。上下セットで2万円以下で購入可能。登山だけでなく、野外フェスやキャンプなど幅広く活躍します。
③種類・カラーなど、豊富なデザインから選べる
『ハイベント』はいくつかの派生素材があり、自分の好みのアウターが選びやすいのも魅力。2.5層構造でドライな着心地がウリの<HyVent-D>、ストレッチ性が備わった<HyVent ALPHA>、透湿スピードが飛躍的にアップした<HyVent FLASHDRY>など、様々な機能を持った素材が登場しています。

【パタゴニア】H2Noパフォーマンス・スタンダード

  • 耐水圧数: 未公表
  • 透湿数: 未公表
  • 参考価格: 約20,000〜63,000円

あくなき製品へのこだわりと環境問題への配慮から、コアなファンの多いパタゴニア。
『H2Noパフォーマンス・スタンダード』はパタゴニアが「防水性」「透湿性」「耐久性」の基準として採用している規格です。
さまざまな厳しい環境下での検証を繰り返し、テストにクリアした製品にのみこの規格の表示が可能。「耐水圧数」や「透湿数」は公表されていませんが、このマークがあることがパタゴニアからの「品質の証」でもあります。

H2Noのおすすめポイント

用途とスタイルに合わせたセレクトができる
『H2No』には街使いやレジャーにおすすめの<2層構造>モデル、ハイキングや夏山におすすめの<2.5層構造>モデル、積雪期を含む登山におすすめの<3層構造>モデルがあります。用途に応じたセレクトができるので「それぞれの層のアウターを一着ずつ揃えて使う」なんていうのもアリですね!
②環境に優しいアウター
2019年秋以降、パタゴニアでは防水ウェアの100%リサイクル素材を使用。また防水ウェアの製造にはフェアトレードが採用されており、その報酬は貧困者に直接支払われる仕組みになっています。着ることで、人と環境に貢献できるのがパタゴニアのアウターのポイントです。
③山だけじゃない!デザイン性も◎
メンズ・レディース共にカラーバリエーションが豊富で、高いデザイン性も魅力。山で着るのはもちろん、街着としてアウトドアファッションを楽しむにもおすすめです。

モンベル|ドライテック

  • 耐水圧数: 20,000㎜以上
  • 透湿数: 8,000〜20,000g/㎡・24hrs[B-1法にて測定]
  • 参考価格: 約7,000〜25,000円

「自分たちが納得できるモノづくりを」という姿勢のもと、今も進化し続ける国内アウトドアブランド『モンベル』。
その独自防水透湿性素材『ドライテック』は、ポリウレタンの特徴でもある「防水性を高めると透湿性が低くなる」という問題を高いレベルで解決した素材です。
雨を防ぎながら、汗などの蒸気をスムーズに排出します。

ドライテックのおすすめポイント

①リーズナブルな価格設定で、コスパがいい!
高い防水透湿性はもちろんのこと、そのお手頃な価格も大きな魅力です。様々なレベルに応じたアウターが展開されているので、初心者から上級者まで、街用やキャンプ用など、自分のスタイルに応じたベストなアイテムを選ぶことができます。またコスパがいいので「最初の1着」としてもおすすめです。
②日本人の体型に合った設計
国内ブランドのモンベルは、日本人にフィットするウェア設計になっています。海外ブランドはサイズが合わなかったりと何かと悩みがちですが、モンベルなら安心です!自分の体型にジャストフィットするアイテムが選べます。
③パワーアップしたドライテック素材も魅力!
「ゴアテックスほどじゃないけど、もうちょっと高い機能が欲しいな」という方には、ドライテックの上位素材を候補に入れてみるのもおすすめ。ドライテックの機能はそのままに高次元のストレッチ性を持たせた<ストレッチドライテック>、生地に「通気性」が加わった<ブリーズドライテック>など、+αの機能を備えています。

ファイントラック|エバーブレス

  • 耐水圧数: 20,000㎜以上
  • 透湿数: 10,000g/㎡・24hrs[A-1法にて測定]
  • 参考価格: 約20,000〜50,000円

徹底した品質を追求する国産アウトドアブランド「ファイントラック」の独自素材『エバーブレス』。
同素材を用いたアウターには、ライトトレッキング用から本格的な雪山用モデルまで幅広いラインナップがありますが、どのシリーズもユーザーの使い心地を考え抜いた機能が満載。
すべての登山者におすすめできる素材です。

エバーブレスのおすすめポイント

①「動きやすさ」と「快適性」にとことんこだわる
エバーブレスシリーズは、ストレッチの効いた生地が大きな特徴。ゴアテックス素材が苦手とする「伸縮性」をカバーし、動きやすく着用時のストレスがないパフォーマンスを可能にします。
②劣化が遅く、耐久性に優れている
一般的なポリウレタン素材は劣化しやすいデメリットがありますが、エバーブレスは「ポリカーボネート系ポリウレタン」という、劣化スピードが非常に遅い素材を採用。機能低下を最小限に抑え、長期間機能を維持することが可能です。価格設定は高めですが、長いスパンで考えればとてもコスパがいい素材と言えます!
③マルチな用途で活躍するアウター
裏生地にニットを使用することで、しなやかで快適な着心地を実現。ガサガサして着にくいというアウターの概念を一新し、レインウェアとしてだけでなくウィンドシェルとしても使えるなど、1枚持っていれば様々な登山シーンで活躍できるアウターです。

ミズノ|ベルグテック

  • 耐水圧数: 約30,000㎜
  • 透湿数: 約16,000g/㎡・24hrs[B-1法にて測定]
  • 参考価格: 約15,000円

「ミズノ」は長年培った信頼の技術力が魅力の総合スポーツブランド。
その独自防水透湿性素材『ベルグテック』の代表モデル「ストームセイバー」は、ゴアテックスに引けを取らない防水・透湿性を誇りながらも、約1万5千円というコスパを実現。
「富士山着用率NO.1のレインウェア」として人気のアウターです。

ベルグテックのおすすめポイント

①軽くて動きやすい!
ストームセイバーは袖に動きやすい立体的な形状を採用。あらゆるシーンでも、生地がつっぱるようなことはなく快適に手足を動かすことが可能です。また、コンパクトで軽量な設計になっており、収納時もフード内に小さく丸めこむことができます。
②ベタつきにくく、雨天時の行動も超快適
独自の3層構造で設計されたベルグテックは、裏地に薄い生地を張り合わせることで、ベタつきにくく快適な着心地を可能に。雨天時の行動だけでなく、屋久島のような多雨地帯の登山にもおすすめできるアイテムです。
③100回洗濯しても水をはじく!
繊維の一本一本まで均等に撥水が行き渡る加工を施してあるため、使用による機能低下の心配もありません。ここからは今回紹介した素材が使われているおすすめのアウターを、シーンごとにセレクトしていきたいと思います!

【コスパ重視】日帰り・ハイキングにおすすめのアウター

どれもお手頃な価格でありながら、登山で使うには十分な防水透湿性の機能を持っています。「年に数回しか山に行かない」「日帰り登山や低山などのハイキングがメイン」という方におすすめのアウターです。

【モンベル】ドライテック|サンダーパスジェケット

モンベルの『ドライテック』を使用した3層構造のアウター。
エントリーからハードユースまで幅広いユーザーに対応したモデルです。パンツとセットにしても12,000円という驚きのコストパフォーマンスも魅力!

【ミズノ】ベルグテック|ストームセイバー

ストームセイバーは『ベルグテック』を用いた防水透湿性が魅力のレインウェア。
日帰りやハイキングだけではなく、富士山やアルプスなどの高山や雨の多い屋久島登山でも対応できるコスパに優れたアイテムです。

【ノースフェイス】HyVent|レインテックス

コスパの良いノースフェイスの軽量アウター。ノースフェイスらしいカッコいいデザインが特徴で、登山だけでなくキャンプや野外フェスでも使いやすい設計になっています。
上下セットで購入できるので、これから登山を始める人の最初の一着としてもおすすめ。

【防水透湿性重視】縦走登山・稜線歩きにおすすめのアウター

「宿泊を伴う縦走登山」や「高山の稜線歩き」、「雨の長時間行動」などにおすすめの、独自素材の中でも高い機能を持ったアウターをご紹介します。

【パタゴニア】H2No|クラウドリッジジャケット

ハードユースにも対応する3層構造の防水透湿アウター。「雨でも楽しく活動する」をテーマに、雨の多い高温で多湿の日本の山を想定したモデルになっています。「100%リサイクル素材」の環境に配慮した素材も◎!

【素材】3層構造 H2Noパフォーマンス・スタンダード・シェル(30デニール)
【重量】391g
【カラー】3色
【参考価格】33,000円(+税)
パタゴニア クラウドリッジジャケット

【ファイントラック】エバーブレス|フォトン

「ストレッチの効いた動きやすい着心地」が特徴のエバーブレスの中でもオールラウンドに対応するモデル。
ストレスを感じることなく身体を動かせる設計になっており、レインウェアとしてだけでなく「マルチシェル」としてさまざまなシーンで活躍するアイテムです。

【ノースフェイス】HyVent|スパイラルジャケット

高山での急な雨による濡れや衣服内の蒸れを軽減する通気・防水テクノロジーを搭載した高機能アウター。
ゴアテックスにはない高いストレッチ性を兼ね備えているため、アウターとしての活用頻度が高いところも魅力のアイテムです。

【軽量コンパクト性重視】UL山行・トレランにおすすめのアウター

防水透湿素材となるとどうしても重くなってしまいがちですが、軽量に特化したアウターも登場しています!
「UL山行を楽しみたい」「トレランに使える軽量アウターが欲しい」という方におすすめのアイテムです。

【ノースフェイス】フューチャーライト|FL フライトトレイルジャケット

話題のノースフェイスの新素材「フューチャーライト」を使用した超軽量アウター。長時間のランニングを想定し、適度なストレッチ性と着続けることを目的とした通気性を備えています。
シンプルでありながらも機能性溢れるデザインにも注目です。

【ファイントラック】エバーブレス|レグン

特殊2,5層レイヤーの防水透湿素材「エバーブレス3D」を採用の超軽量モデル。
エバーブレスの抜群のストレッチ性と無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインが、山での行動を最適にサポートします。

自分に合ったアウター素材を見つけて、登山を楽しもう!

ゴアテックス以外にも”こんなにアウター素材がある”ことに驚いた方も多かったのではないでしょうか?
でも今回紹介できたのはまだまだほんの一部です。
自分のスタイルにピッタリなアウターが見つかれば、登山がもっと楽しく快適になるはず。
ぜひ、いろんなアウター素材に注目してみましょう!

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