「横浜産木製ストロー」で環境守れ 12月から市販へ

12月から市販される横浜産の木製ストロー

 横浜市所有の水源林で間伐されたスギを活用した木製ストローが、12月から市販される。国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けたプロジェクトの一環で、都内の企業が企画発案し、市内の特例子会社が生産に携わる。価格の高さに課題は残るものの、官民連携で海洋汚染につながるプラスチックごみの削減や、森林環境保全の推進などに取り組む試みだ。

 「SDGsストロー・ヨコハマ」と名付けられた横浜産の木製ストローは、山梨県道志村にある水源林を整備する際に出るスギの間伐材を活用。北都留森林組合(同県)がカンナで縦6センチ、横30センチ、厚さ0.15ミリに削り、障害者の雇用促進を目的に設立された特例子会社「日総ぴゅあ」(同市港北区)の従業員が手作業でストロー状に巻き上げる。

 注文住宅の建設・販売を手掛けるアキュラホーム(東京都新宿区)が企画発案から監修、品質管理までを担当。市や民間企業でつくる中間支援組織「ヨコハマSDGsデザインセンター」が総括やPRを請け負う。

 月1万本の生産を当面の目標に、市内のホテルや飲食店への普及を目指す。同センターによると、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ(同市西区)が導入を検討するほか、成田空港での使用に向けた調整も進んでいる。

 アキュラホームは衛生面を考慮し、使い捨てタイプを企画したが、「もったいない」との意見を踏まえ、複数回使えるタイプも開発中という。

 普及の課題になるのがコストだ。SDGsストローは1本55円(税込み)と、プラスチック製の相場(1本0.5円)に比べて高額になっている。そのため、市は今後、需要を拡大させて価格を引き下げられるよう、啓発に力を注ぐ考えだ。

 7日の定例会見で、林文子市長は「SDGs未来都市・横浜が目指す、横浜型大都市モデルの方向性そのもの。他都市へ普及し、全国的なモデルにしたい」と期待を寄せた。

 問い合わせは同センター電話050(3749)7415。

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