町で唯一の総合スーパー閉店へ 40年近く営業、高齢者「どこで買い物すれば…」

11月末で閉店するスーパーミヤモト(京都府井手町井手)

 京都府井手町井手のスーパー「ミヤモト」が30日、閉店する。町内で唯一の総合スーパーがなくなることで、移動手段のない高齢者を中心に「どこで買い物すればいいのか」と声が上がっている。

 ミヤモトは1982年創業。店舗面積は約500平方メートルで、生鮮食料品や冷凍食品、雑貨などを扱う。代表の宮本安さん(85)は「若者は町外の大手スーパーに行く。町の人口減もあり、ぎりぎりまで辛抱したが採算が合わず、閉店を決めた。後継者がいないことも理由の一つ」と話す。

 ミヤモトの特長は手作りの総菜。お好み焼きや煮魚などが並び、売り上げの約四分の一を占める。毎日のように買い物に来ていた近所の70代男性は「妻が亡くなってから数年間、ミヤモトのおかずで生きてきた。車のある人はいいが、老人はどうすればいいのか」と声を落とす。

 町にとってもスーパーの確保は大きな課題だ。2015年、町が若年女性を対象に実施したアンケートでは、「井手町が住みにくいと感じる理由」として「買い物など日常生活が不便」が1位だった。同町多賀に出店予定だった大型商業施設計画も今春、白紙に戻っており、対策の検討を迫られている。

 ミヤモト閉店を受け、町商工会は個人商店の利用促進を進める考えだ。ミヤモト周辺には精肉店などが点在しているため、「それぞれの店を利用をしてもらえれば、買い物難民にまではならない」との姿勢を示す。店の商品やサービスを一律100円で提供する年2回の「百縁商店街」のように、より入店しやすい仕組みについて考えていく、とする。

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