WRCで活躍するヘイデン・パッドン、2020年の地元初開催TCRシリーズ参戦へ

 WRC世界ラリー選手権のトップドライバーとして活躍するヘイデン・パッドンが、2020年にラウンチされる地元ニュージランドのTCRシリーズに参戦することを表明。TCR規定ツーリングカーでも高い戦闘力を誇るヒュンダイi30 N TCRをドライブすることになった。

 ニュージーランドの国内ラリー選手権で4度のタイトルを獲得し、2011年にはPWRCプロダクション世界ラリー選手権でも王者に輝いたパッドンは、WRC昇格後Mスポーツやヒュンダイのワークスチームで活躍。2016年にはラリー・アルゼンティーナでWRC初勝利も飾っている。

 その活動と並行して、近年は自らのプロジェクトにも心血を注ぎ、母国ニュージーランドに戻ってEVラリークロスカーの開発や、ヒュンダイとのヒルクライム・シリーズへのチャレンジなど、活動の場を広げる動きをみせてきた。

 その一環として、自らの名を冠した『Paddon Rallysport Group team(パッドン・ラリースポーツ・グループ・チーム/PRG)』からのエントリーで、2020年から初年度開催を迎えるTCRニュージーランド・シリーズの開幕3戦に出場することを決めた。

 クイーンズタウン近くのハイランド・モータースポーツパークに本拠を置くPRGは、2020年1月17~19日に開幕するシーズン初戦に向け、すでにイタリアから「セカンド・ハンド(中古)の」ヒュンダイi30 N TCRを入手し、隣国オーストラリアから遅れること1年で創設されるシリーズへの準備を進めている。

「TCRは世界中で成功している規定であり、カテゴリーの盛り上がりはこれまでにない規模だと言える」と語ったパッドン。

自らの名を冠したPaddon Rallysport Group team(PRG)からのエントリーとなる
2019年はフォード・フィエスタR5のph2モデルでWRCのラリーGBにも参戦した

「そんなシリーズが母国にも誕生し、その開幕戦に出場できるのが決まった時は、本当にワクワクしたよ」

「異なるマニュファクチャラーの車種、出自の違うドライバーたちの間で公平な競争の場が提供され、それがうまく機能しているのが証明されている。僕たちのチームもそんな新たな地平にチャレンジしようと決めたんだ」

 そのパッドンだが、もちろんサーキットレースへの挑戦はこれが初となり、ドライビングや競技そのものの形態も未経験だ。

「新たなモータースポーツのカテゴリーに進出するのは、チームにとって大きな成長の場になるし、自分自身の可能性を広げて能力を最大限に活用するチャンスでもある」

「もちろん、これまでサーキットレースの経験はまったくない。僕たちのチームはハイランドに拠点を置いていて、そのレーストラックでさまざまなマシンをドライブする機会はあったけれど、実際のレースに参加したことはないんだ」

「だから、他のマシンと一緒に勝負できるのが本当に楽しみなんだ。僕たち自身はこの機会を心から楽しもうと思っているし、同時にモータースポーツの新たな規律を学ぶ大きなチャンスでもある。今から開幕戦が待ちきれないよ」

 パッドンの元チームメイトで、WRCのヒュンダイ・シェル・モビス・ワールド・ラリー・チームのエースを務めるティエリー・ヌービルは、2019年シーズンのTCRドイツ・シリーズにゲスト参戦し、初のTCRマシンながらニュルブルクリンクのレースでポール・トゥ・ウインを達成している。

PRGが拠点とするハイランド・モータースポーツパークは、2013年開場で立体交差を含む複数のレイアウトが可能なトラックでもある
NZのヒルクライム活動のほか、WorldRXの電動クラスであるProjekt Eの開発車両などもテストした

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