楽天「長崎人材で成長へ」 保険グループ4社 県・市と立地協定締結

立地協定調印後、握手を交わす(左から)中村知事、橋谷社長、田上市長=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 楽天保険グループは25日、関連4社が来年4月に長崎市内に「長崎ビジネスセンター」を共同開設するための立地協定を長崎県、長崎市と締結した。今後、契約事務や保険金の支払いを担う全国9拠点を統廃合し、九州唯一の同センターが最大級の地方拠点となる。4社の持ち株会社、楽天インシュアランスホールディングス(東京)の橋谷有造社長は会見で「グループが成長過程に入る中、長崎で優秀な人材を確保し、より質の高いサービスを提供していきたい」と述べた。
 同センターは、クレインハーバー長崎ビル(出島町)2階に開設する。4社は▽楽天生命保険▽楽天損害保険▽(楽天ペット保険を扱う)楽天少額短期保険▽(楽天保険の総合窓口を扱う)楽天インシュアランスプランニングで、いずれも本社は東京。6月に設置された楽天保険の総合窓口は、各種保険の問い合わせにワンストップで対応する業界初のサービス。
 同センターについて、橋谷社長は「拠点が分散していると効率的な人材育成やノウハウ蓄積が難しく、長崎に一定集約する」と説明。国内30カ所の候補地から、災害時の事業継続や人材確保、行政のサポートという三つの利点から長崎進出を決めたとした。まず計50人で業務をスタートし、3年間で計120人の正社員雇用を計画している。
 楽天は、金融とITを融合したフィンテック(保険4社、楽天ペイ、楽天銀行など)や電子商取引(楽天市場など)、通信(楽天モバイル)といった多彩なサービスを展開。会員数は1億人を超える。橋谷社長によると、豊富なデータを駆使した新サービス開発や効率的な事業展開をできるのが強み。
 保険業界では新興勢力だが事業規模は拡大傾向にあり、橋谷社長は「会員に契約を広げ成長できる余地がまだまだある。何より楽天のブランド力は強い」と強調した。直近の保険グループ従業員数は1270人。
 12月から求人開始、来年1月26、27の両日に同市立図書館で会社説明会を開く。長崎勤務のままキャリアアップできる体制を整える方針。橋谷社長は「性別や年齢を問わず、地元に根を張って、新しいことにチャレンジする人を求めたい」と話した。
 立地協定調印式は同市内のホテルであり、中村法道知事、田上富久市長が同席した。

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