【減災】護岸の基準見直しへ 国交省、台風15号の横浜港被害で

東京湾での高波対策が話し合われた検討委員会=国土交通省関東地方整備局

 国土交通省関東地方整備局は25日、9月の台風15号による横浜港での高波被害を受けて、東京湾の護岸の必要高や強度を求める際の「設計波」を見直す方針を固めた。従来の伊勢湾台風級の潮位などに加えて、15号で発生した高波浪を新たな条件にすることで最大クラスの高波に対応する。

 有識者を交えた「東京湾における高波対策検討委員会」の第2回会合が同日、横浜市内で開かれ、国交省が示した。年内に最終方針をまとめ、高波で崩壊した横浜市金沢区の護岸の復旧時に新たな基準を適用する考えだ。

 国交省によると、東京湾内で護岸の必要高や構造を検討する際、従来は5千人以上の死者・不明者が出た1959年の伊勢湾台風級の潮位などを設計波として活用している。今後は15号で発生した潮位と波浪を新たな条件に加えることで、護岸の設計や改修ではより厳しい基準を採用する。

 15号では金沢区福浦・幸浦地区の護岸に当たってくだけた波が高さ10メートル程度まで到達したと推定され、護岸が10カ所以上にわたり崩壊した。従来の基準により被災した護岸の構造部は無筋だったが、国交省は新基準によって、護岸の構造物を鉄筋で一体化して十分な強度に補強する改修案を示した。

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