“長崎の傷”伝えたい 映画「祈り」制作を発表

制作発表で写真に納まる松村監督(中央)ら=長崎市平野町、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 昭和30年代の長崎を舞台に長崎原爆による被爆とカトリックの信仰について描いた映画「祈り-幻に長崎を想う刻(とき)-」(仮題)の制作発表が25日、長崎市内であった。来年4月の完成予定。来春、米ニューヨークの国連本部での上映会も計画している。
 原作は同市出身の劇作家、故田中千禾夫(ちかお)(1905~95年)の戯曲「マリアの首」。原爆で壊滅的被害を受けた旧浦上天主堂の取り壊しに合わせ、撤去の動きがある被爆マリア像を守ろうとするカトリック信者の物語。59年に岸田演劇賞などを受賞した。映画化は初めて。
 会見は松村克弥監督、田上富久市長らが出席。主役の女性2人に高島礼子さん、黒谷友香さんを起用し、主題歌は歌手さだまさしさんの曲「祈り」、来年2月に同市の館内市場などでロケを実施することなどを明らかにした。
 国連での上映会は、核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせた非政府組織(NGO)の会合の場を想定。来年7月に本県で先行上映し、9月から全国公開の予定。
 松村監督は「原爆による“長崎の傷”を将来にわたって伝える作品にしたい」と意気込みを語った。

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