【MLB】韓国人左腕は「先発5番手か便利屋」 米挑戦の“日本キラー”を米メディアは岩隈と比較

韓国代表としても長く活躍しているキム・グァンヒョン【写真:Getty Images】

KBOのSKからポスティングシステムでメジャー移籍を目指す左腕・金廣鉉

 韓国プロ野球(KBO)のSKワイバーンズからポスティングシステム(入札制度)でメジャー移籍を目指す左腕・金廣鉉(キム・グァンヒョン)投手を米テレビ局「CBSスポーツ」が特集。「先発ローテーション5番手、または、スウィングマン(1人で複数の役割をこなす選手)のような位置づけになるだろう」と紹介している。

 金廣鉉は2006年のドラフト1位でSKに入団すると、08年には16勝を挙げてMVPを受賞した。同年の北京五輪では予選と準決勝の日本戦に先発し、予選では6回2失点、準決勝では8回2失点と2度好投。金メダル獲得に貢献して「日本キラー」と呼ばれた。11年以降は不振が続いたが、17年にトミー・ジョン手術を受けると復活。昨季は25先発で11勝8敗、防御率2.98、今季は30先発で17勝6敗、防御率2.51と好調だ。記事では「トミー・ジョン手術後は、コントロールが悪くなる投手が多いが、キムは、復帰後の2年間の与四球率は彼のキャリアベストであった」としている。

 記事では、KBOのロッテ・ジャイアンツのフロントスタッフが今年8月に出したスカウティングレポートを紹介。「キムの速球は90マイル前半だが、必要であれば90マイル半ばまで出せる。彼のスライダーはキレがありメジャーリーグ級だ。近年、彼はカーブボールとフォークボールをもっと上手く使うようになった。コントロールも良くなり、さらに良い投手になった」との評価を得ている。

 米野球データサイト「ファングラフス」ではそのスライダーを高く評価しながらも、メジャーリーグでは「先発ローテーション5番手、または、スウィングマン(1人で複数の役割をこなす選手)のような位置づけになるだろう」としている。似たタイプの投手としては今季9勝12敗、防御率4.56ながら238三振を奪ったタイガースのマット・ボイド投手が挙げられている。

マリナーズが岩隈と結んだ1億6300万円+出来高と同規模の契約と予想

 また、米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者によると、すでにカブス、ダイヤモンドバックス、ドジャース、メッツ、ロイヤルズが興味を持っているという。記事では左腕でスライダーで空振りを奪えることが人気のポイントだとし、マリナーズが岩隈久志投手と結んだ契約と同規模になるのではないかとしている。

 岩隈は2012年1月に、マリナーズと年俸150万ドル(約1億6300万円)に先発数と投球イニングの出来高340万ドル(約3億6900万円)を加えた1年契約を結んだ。記事では、金廣鉉が当時の岩隈と同じ31歳だと紹介。年俸150万ドル(約1億6300万円)を貰えるとすると、金廣鉉の今季年俸140万ドル(約1億5200万円)を上回ることから、「MLBでプレーするチャンスはこれが最後になるかもしれない。出来高が多く付いた1年契約で、彼はMLBに来るのではないか」と予想している。

 さらに、キャリアを通して先発を務めていた金廣鉉は開幕ローテーション入りを希望するだろうとし、「もしそれが無理ならば救援投手として始めて、その後(良い働きをすれば)ローテーションに加わるような、マリナーズでのイワクマのような動きをするのではないだろうか」とこちらも岩隈と比較している。

 2014年オフにもポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を表明したが、最高入札額200万ドル(約2億1730万円)を付けたパドレスとの交渉がまとまらず断念した金廣鉉。かつての「日本キラー」がついにMLB挑戦を果たすのか、どこのユニホームに袖を通すのか注目が集まる。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2