総合商社の双日が五島・鐙瀬地区にホテル計画 富裕層取り込み狙う

 総合商社の双日(そうじつ)(東京)が、長崎県五島市の鐙瀬(あぶんぜ)地区で高級リゾートホテル開発に向けた検討を進めている。主に訪日客の分散化の動きが進む中、訪日客を含む富裕層を取り込む。双日はホテル事業以外にも、食や観光、教育などさまざまな分野での地域活性化に乗り出す考えだ。

 五島市は鐙瀬(あぶんぜ)地区の市有地約1万5千平方メートルについて、富裕層向け宿泊施設の建設を軸に、雇用創出や交流人口拡大を図る活性化プランを公募。地方創生事業に力を入れる双日が応募し、事業候補者に先月内定した。双日は五島市と年内に協定を交わし、3年以内の開業を目指す。

 鐙瀬地区は福江島南東部に位置する五島市内有数の景勝地で、海に流れ込んだ鬼岳の溶岩が約7キロの複雑な海岸線を形成する。五島市内の自然環境を紹介する市の施設「鐙瀬ビジターセンター」などがあり、一部は西海国立公園に指定されている。

 検討中のホテルは、2人1部屋2食付きで1泊10万円前後を想定し、長期滞在にも対応する広めの客室を20~30室ほど備える方針。地元食材を使うレストランなども併設し、市内の史跡などを巡るツアーや、マリンレジャーなどの提供も目指している。

 五島市は鐙瀬地区内で、ビジターセンターや遊歩道の再整備事業について別に公募しており、双日も連携する考えだ。

 双日は「今後の日本のために、地方の中でも離島を元気にすることが第一歩。中でも観光資源などが素晴らしい五島に目を付けた」と説明。「ホテル開発はあくまでも活性化策の一つ。上五島と下五島の連携や、(飲食やレジャーなど)さまざまな事業に取り組む中で、島全体の雰囲気が上がり人口減の抑制につながれば」としている。

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