新幹線殺傷28日初公判 検察、厳罰求める可能性

殺傷事件を受け、小田原駅に長時間停車した東海道新幹線のぞみ265号=2018年6月9日午後11時半ごろ、小田原市

 新横浜-小田原間を走行中の東海道新幹線で昨年6月、乗客3人が殺傷された事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職小島一朗被告(23)の裁判員裁判が28日、横浜地裁小田原支部(佐脇有紀裁判長)で始まる。被告は事実関係をおおむね認めるとみられ、被告にどのような刑罰を科すのか量刑が争点になりそうだ。

 起訴状などによると、被告は昨年6月9日夜、東京発新大阪行きのぞみ265号(16両編成)の12号車で、20代の女性2人をなたなどで傷つけ重軽傷を負わせ、止めに入った兵庫県尼崎市の男性会社員=当時(38)=の首や足を切り付けるなどして殺害した、とされる。

 捜査関係者によると、被告はこれまでの調べで「刑務所に入りたかった」「新横浜駅を過ぎたらやろうと思っていた。誰でもいいから、隣の席に座った人からやろうと思った」などと供述。計画的に凶器を準備した上で無差別に乗客を襲ったとみられ、こうした経緯や結果の重大性から検察側が厳しい処罰を求める可能性もある。

 被告は起訴前に検察側が実施した精神鑑定で、人格障害と判定されたという。弁護側は、こうした障害が事件に影響した側面もあるとして、量刑を考慮するよう求めるとみられる。

 親族によると、被告は中学時代に不登校になり、家族との関係も険悪化した。「生きている価値がない」と自殺願望を語ったこともあった。公判では、こうした複雑な成育環境が被告の人格や動機形成に与えた影響についても、審理される見通しだ。

 公判は12月9日に論告求刑が行われ、同18日に判決が言い渡される予定。

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