【あなたは何しに?】アイルトン・セナをモデルとした人気コミック『セニーニャ』原作者、日本のオリンピックに興味深々

 F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある、今回はF1第20戦ブラジルGPで思わぬ対面を果たすことになったセニーニャ(アイルトン・セナをモデルにしたブラジルのコミック)原作者を紹介しよう。
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 F1第20戦ブラジルGPの予選後、パドックでの取材を終えてメディアセンターに帰ろうとしたら、ゲートを出たところで、地元のファンらしき人たちが数名、記念撮影を撮っていた。『アイルトン・セナの没後25年』のネタとして、ちょっと取材してみようと駆け寄り、「日本から来た記者の者ですが、あなた方はセナのファンですか?」と声をかけると、「ああ、そうだよ。ブラジルのセナ・ファンの集まりなんだ」と、その中のひとりのファンが答えてくれた。

 その後、その方はこう続けた。
「この人のこと、知らないの?」

 この人とは、一緒に集合写真を撮っていた中で向かって右から2番目の人のことだ。

 筆者が「???」という様子をしていると、ほかのファンがこう教えてくれた。
「セニーニャは知っている? その作者だよ」

 なんと、この方はセニーニャの原作者のリダウト・ディアス・ジュニオールさんだった!! セナのファンたちが、ここでディアス・ジュニオールさんを見つけ、ディアス・ジュニオールさんを囲んで記念写真を撮っていたというわけだ。

「正確には、考案したのはロジェーリオ・マルティンスで、私が彼のアイディアを元に原画を描いたんだ。1991年にアイルトンの事務所に持ち込み、その後アイルトンがわれわれのプロジェクトの存在を知って、1993年からセニーニャのTシャツなどを着るようになって、多くの人たちに知られるようになったんだ」

セニーニャの原作者、ディアス・ジュニオール

 突然の出会いに、筆者が少し戸惑っていると、ディアス・ジュニオールさんはこう言葉を続けた。
「ちょっと、そのノートとペンを借りてもいいかな?」

 そこで筆者がノートとペンを差し出すと、ディアス・ジュニオールさんは空いたページにサ、サ、サとペンを走らせていくではないか!! そう、セニーニャを筆者の前で生・描写し始めたのである。

 待つこと1分少々、筆者のノートの中にセニーニャが復活した。そして、ディアス・ジュニオールさんはこう語ってくれた。

「みんなはセニーニャはアイルトン・セナだと思っているようだけど、そうじゃないんだ。セニーニャはいつの日か、アイルトンのように偉大な人間になろうと努力する人の象徴なんだよ」

 ディアス・ジュニオールさんによれば、セニーニャは7歳のキャラクターで、生前アイルトンは「僕は歳をとっても、彼は永遠に7歳だから、いいね」と語っていたという。セニーニャの権利は現在はアイルトン・セナ財団が管理しており、ディアス・ジュニオールさんはもう仕事としては関わっていないが、久しぶりに描いたセニーニャに、こんなセリフをつけてくれた。

「Step on it, Japan!!」(日本へ急いで行かなきゃ!!)

 その理由をこう説明してくれた。

「日本はアイルトンの愛した国。その国で、来年オリンピックが開催される。前回大会がブラジルだったから、セニーニャが次は日本へ行こうとしているんだよ」

 オブリガド、ディアス・ジュニオール!!

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