昭和初期の姿、資料で伝え 都筑の豪商・中山恒三郎家を公開 

内部が公開される中山恒三郎家の書院

 都筑郡川和村の豪商だった旧中山恒三郎家の書院と諸味(もろみ)蔵(横浜市都筑区川和町)が、28日から一般公開される。書院は市の歴史的建造物で、諸味蔵では4年前に見つかった資料を整理する様子も見学できる。改修工事で休館中の市歴史博物館が行うアウトリーチ(出張展示)事業の一環。

 中山恒三郎家は、江戸時代から川和村に住んだ中山一族のうち、幕末に初代恒三郎が中山五蔵家から分家した家。塩やしょうゆ、酒、たばこなどの販売に従事し、地域経済の活性化に貢献した。戦前までは菊栽培も盛んに行い、松林圃(しょうりんぽ)の名が付いた菊園で開く観菊会は、全国的に知られていた。

 2015年11月、蔵の中に菊栽培や事業の記録、江戸時代の川和村の絵地図、各時代に撮影された写真、商いの道具類など数万点の資料が確認され、調査が進められている。

 一般公開では、川和に電話が開通した昭和初期の資料などを書院で展示し、諸味蔵で行われている資料整理の現場も見学できる。6代目当主の中山健さん(57)は「当家の物が郷土史の研究に役立てばうれしい」としている。

 無料で12月10日まで(午前10時~午後3時半、12月2日休み)。会期中は公開講座やイベントが開かれ、詳細は市歴史博物館のホームページで確認できる。問い合わせは同館電話045(912)7777。

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