新しい「和」を

 今年3月、長崎市内の当時小学1年だった男の子の作文に目を丸くしたのを覚えている。小社などが募った「新聞」感想文コンクールの受賞作にこうある。V・ファーレン長崎だけの新聞があったらいいなと思って、自分で「つくることにしました」▲V長崎のホーム戦は全て見て、アウェー戦にも足を運んだ。試合の内容と感想を折り紙に書いては模造紙に貼り、5枚半にもなったという▲この例に限るまい。チームはどんなに人を引きつけてきただろう。試合結果にどんなにか一喜一憂しただろう。サッカーJ2のリーグ戦が終わり、V長崎は12位だった。26日のスポーツ面で記者が厳しかった今季を振り返っている▲手倉森誠監督の就任で戦術は変わった。中でも、コーチ陣が細かく指示する形を「可能な限りピッチ内で解決するように見直した点」は大きかったが「まとまりきれなかった」と選手も悔やむ。反省点が多いのは“変わり目”の証しでもあるのだろう▲高田明社長に代わるV長崎の新社長がきのう発表された。戦う人、支える人、声援を送る人の間で、大切にし合い、協力し合う「和」をあらためて築きたい▲「和」を滑らかに崩して平仮名の「わ」になったという。顔を上げ、前を向いて再出発を。ピッチでの活躍が驚きと感嘆の「わ!」を生むように。(徹)

© 株式会社長崎新聞社