玄海原発事故に備え原子力防災訓練 3県で約6300人が参加

避難所に到着後、スクリーニングを受ける中学生ら=佐世保市三川内本町、三川内地区公民館

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)での重大事故に備え、長崎、佐賀、福岡の3県は30日、原子力防災訓練に取り組んだ。3県で住民や自治体関係者ら計約6300人が参加し、避難経路や緊急時の連絡、協力体制などを確認した。玄海3、4号機再稼働後の訓練は今年2月に続き2回目。

 訓練は、佐賀県内を震源とした震度6弱の地震が発生し、4号機で炉心を冷却する機能が損傷、放射性物質が施設外に漏れたとの想定で実施した。
 このうち、長崎県では、原発から30キロ圏内の松浦、壱岐、平戸、佐世保4市との共催で取り組み、圏内の住民や自治体、自衛隊、県警など83機関の関係者ら計1700人が参加。初の試みとして、松浦市は携帯電話に情報を一斉送信し避難を呼び掛ける緊急速報メールを活用した。県は県庁に県災害対策本部を設置し、被災状況確認のため、同訓練で初めて小型無人機ドローンを使用。3県知事、4市長らによるテレビ会議などで情報を共有し、対応を協議した。
 一方、住民らは屋内退避後、松浦鉄道(MR)や自動車、バス、船、ヘリコプターなどで公民館などに避難した。避難所では、被災者の被ばくの有無を調べるスクリーニングや救護所の運営、被災住民登録などの手順を確認。甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の説明や負傷者の搬送訓練などもあった。
 県災害対策本部長の中村法道知事は、避難所の一つ、東彼波佐見町体育センターを視察。「正確な情報をいかに迅速にお伝えできるかが非常に大切で、複合災害も想定し、多様な移動手段をどう確保するかも課題だ」と述べた。
 長崎県は2002年度から訓練を実施。東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故を受け、3県が連携して開催している。佐賀県によると、佐世保配備の護衛艦「いせ」が今回、同県内の訓練に初参加。離島住民の避難や急患の搬送に当たった。

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