師走告げる「あんもーちヨイ」 300年以上続く初冬の風物詩 平戸

住民にあん餅を売り歩く子どもたち=平戸市内

 平戸に師走の訪れを告げる伝統行事「あんもちよい」が1日早朝、中心市街地一帯であり、子どもたちが「あんもーちヨイ」と声を上げながら城下町であん餅を売り歩いた。

 江戸期の「乙子(おとご)の祝い」にちなんだ行事で、300年以上続く初冬の風物詩。夜明け前に餅を食べると水難から免れるとされ、平戸の商家が跡取り息子に商いの手法や早起きの習慣を身に付けさせようとの思いを込めたと伝えられる。

 行事を守り続ける同市魚の棚町の和菓子店「菓子処 津乃上(つのうえ)」からあん餅を仕入れた地元の小学生と保護者ら約60人が、班に分かれ、午前5時ごろから1袋(4個入り)300円で売り歩いた。まだ暗い通りに掛け声が響くと、次々と家の明かりがともり、住民が軒先などで購入。計2100袋が完売した。

 市立平戸小4年、丸山一成君(10)は「大きな声を出すと、皆さんが出てきてくれるのでうれしい」。同店4代目、津上忠さん(61)は「継続は力で、家族や地域の力を借りながら今後も大切な風習を伝えていきたい」と話した。売り上げの一部(1袋当たり50円)は、子どもたちの部活動資金などに充てられる。

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