清野菜名が「やすらぎ」クランクアップ! 八千草薫さんの形見を贈られ涙

倉本聰氏がすべての脚本を担当し、今年4月から昼の帯ドラマとして放送してきたテレビ朝日系の「やすらぎの刻~道」(月~金曜午後0:30)でヒロイン・根来しのを演じてきた清野菜名がクランクアップを迎え、記念の品や感謝状が授与されたほか、今年10月に逝去した八千草薫さんの形見を贈られるというサプライズを受け、感激の涙を浮かべた。

同作は脚本家・菊村栄(石坂浩二)ら“テレビ人”たちが入居する老人ホーム「やすらぎの郷」の人間模様と、菊村が書き進めてきた脚本の登場人物であるしの(清野菜名/風吹ジュン)と公平(風間俊介/橋爪功)夫妻の一代記「道」の二つの世界を描くもの。清野は「道」パートの「昭和編」でヒロイン・しのを演じたほか、「平成編」でしのの孫娘・しのぶ役、さらに2017年放送の前シリーズ「やすらぎの郷」では、菊村がかつて恋した女優・安西直美と、その孫で菊村を翻弄(ほんろう)する女子大生・榊原アザミの2役も演じ、“やすらぎシリーズ”では計4役を演じ切った。

クランクアップ当日の撮影は、橋爪功演じる公平の夢の中に若かりし頃のしのが出現するという幻想的なシーン。監督からのOKが出たところでスタッフから「以上をもちまして清野菜名さん、オールアップです!」と声がかかると、監督から大きな花束が贈られ、さらに橋爪からは物語の舞台にちなんで山梨・勝沼産のワインが贈呈された。また、番組プロデューサーからはパネル入りの感謝状も贈られ、照れた表情でそれらの品を受け取った。

そしてサプライズとして、八千草さんが愛用した和服が“形見分け”として贈られると、それまで満面の笑みを浮かべていた清野の目には、みるみるうちに涙があふれた。八千草さんが舞台や時代劇の稽古の時によく着用していたという、白地に赤、紫、緑の絣模様が配された、優しくかれんな印象の着物は、ぜひこれを着てこれからも稽古に臨んでほしいと、八千草さんのマネジャーを長年務めてきた原田氏が数ある遺品の中から選んだものだという。

大先輩の形見を受け取った清野は、「もう…この気持ちは言葉で表せないです。うれしいという言葉で終わらせていいのか分からないぐらい…本当に本当に光栄です」と感謝の意を表した。そして、まだまだ撮影の続くスタッフ・キャストに対し「これからも体に気をつけて作品を完走してください!」とあいさつ。セレモニーが終わると、若干緊張の面持ちで形見の着物に袖を通した清野は、感極まって涙をにじませながらも「このお着物をふんだんに使えるよう、素晴らしい作品にたくさん携われるよう頑張りたい! 八千草さんのように、人に対して温かいすてきな女優になれたらいいなと思います。いえ、絶対になります!」と誓った。

最後に清野は、「1年間、ほぼ毎日スタッフの皆さんと会っていたので寂しくなるなぁと思う反面、演じ切ることができて、うれしい気持ちもあります。この“やすらぎシリーズ”では、キャラクターとして世界の中に“確かに存在した”という実感が強くあって…自分の役者人生にとってとても大きな時間になりました」と長丁場の撮影を振り返った。計4役を演じ切ったことについては、「…もう怖いものはないな!って感じです(笑)」とおどけながらも、確実に成長したという自信ものぞかせた。

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