石川さん最高賞 詠み始め2年 相次ぎ快挙 国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭の「短歌・小中学生の部」

国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭の「短歌・小中学生の部」で文部科学大臣賞を受賞した石川さん=長崎新聞社佐世保支社

 「ソーダ水 空いっぱいに 瞬いて 宇宙に少し 近づけた気がした」

 新潟県で9月15日~11月30日に開催された第34回国民文化祭、第19回全国障害者芸術・文化祭の「短歌・小中学生の部」で、長崎県の佐世保市立祇園中3年の石川胡桃(くるみ)さん(15)が最高賞の文部科学大臣賞を受賞した。「初めてソーダ水を飲んだときは爽快で、空を飛んでいるような感覚になった。炭酸の泡は星のようで、宇宙を連想した」。歌を詠んだ時の思いを振り返り、笑みを浮かべる。

 中学2年のとき、短歌や俳句に目覚めた。学校の宿題で「春」をテーマに俳句を詠んだのがきっかけだった。

 「まちまちの ほはばが歩く 春の道」

 クラス替えしたばかりの歓迎遠足。新しいクラスメートに少し緊張し、みんなが下を向いて、まちまちの歩幅で歩いていた。桜の木はそんな私たちを温かく包み込み、見守ってくれているような気がしたという。

 うまく作ろうと意識したわけではなかったが、長崎新聞の「ジュニア俳壇」で秀逸作品として掲載された。「意外と得意なのかもしれない」。うれしくなり、それから毎日作るようになった。

 常にメモ帳を持ち歩き、思い浮かんだとき、すぐに書き留める。「五七五のフレーズがどんどん降ってくる。句を詠む時は集中していて、“ゾーン”に入るような感覚になる」。情景を思い浮かべながら言葉を紡ぎ、数秒から数分で書き上げる。

 多いときは1日に20首ほど詠む。自信作は大会に応募。これまでに全日本学生・ジュニア短歌大会や動物愛護キャッチコピーコンクール、長崎原爆忌平和祈念俳句大会などで賞を受けている。

 歌や句を詠み始めてから、自分の中の世界が広がった。「虫や植物など“語らない生き物”の気配を感じるようになった。こういう命に気付いてほしいと思ったときに、俳句や短歌で思いを伝えることができる」。そんな魅力を感じている。

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