「相手が傷つく言葉必要ない」 中学生が偏見受けた体験つづる、人権企画展

中学生の作文から印象的な言葉を抽出したパネル=厚木市中町

 人権について考える企画展「無意識の偏見展」が16日まで、あつぎ市民交流プラザ(同市中町)で開かれている。人権週間(4~11日)に合わせ、市が主催。差別やからかい、偏見を受けた中学生3人が自らの体験をつづった作文が展示の柱になっている。

 男子生徒は、家族で買い物に立ち寄ったコンビニでの出来事を記した。

 レジの列に並んでいると、ベビーカーに乗った幼い妹の虫歯を見つけた買い物客が、一緒にいた妊婦を諭す声が聞こえた。「若い親が子育てするとろくなことがない。虫歯だらけで真っ黒な歯、あなたはしっかり子育てしなさいよ」

 妹は生まれつき、エナメル質が少なく、歯が弱い体質で、2週間に一度、歯医者に通ってもいた。母は心ない、その一言に涙をためたという。

 生徒は、作文の最後を「自分の知っている世界がすべてではないこと、相手が傷つく言葉を選び発言する必要はない」と結んだ。

 「では、この『普通』とは何なのでしょうか。」など、作文の中から印象的な言葉を80枚のパネルにもし、天井からつり下げた。視覚効果を狙ったもので、市は「見た人に言葉がより響くよう工夫した。それぞれに考えを深めてもらえれば」と説明している。

 企画展は午前9時~午後6時。観覧無料。問い合わせは市広報課電話046(225)2040。

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