敬語正しく使えていますか?
日本語には敬語という素晴らしい言葉遣いがあり、目上の人や、相手を尊重する言葉として私たちは使用しています。
敬語は、尊敬語、謙譲語、丁寧語と分類されています。誰が主語かによって、使い分けをしていきますね。
敬語を使うことで、その人自身の品位が表れ、また相手に対する尊敬の念、そして適度な距離感を持つことができます。
敬語の使い方が間違っている人は多く、日本語の乱れも感じておりますが、今日は正しい敬語の間違った使い方についてお話します。
「正しい敬語の間違った使い方」とは、一体何のことでしょうか。
そもそも敬語の役割とは
敬語は相手との適度な距離感を保てる、車で言えば車間距離のような働きをしてくれます。
初めて会う人、知らない人には、自然と敬語を使いますよね。
道を尋ねるとき、
「すみません。渋谷駅に行くにはどのように行けばいいのでしょうか」
「ああ渋谷ですね。この道をまっすぐ行って、2つ目の角を右に曲がると渋谷駅ですよ」
と、こんな具合に話しませんか。
日本語教育を受けてきた人ならば、
「ねえねえ、渋谷駅ってどうやって行くの?」
「ああ渋谷?この道をまっすぐ行って、2つ目の角を右に曲がると渋谷駅だよ」
とは、知らない人に対して言わないでしょう。
このように敬語を使わない、くだけた会話を聞いたとしたら、2人は友達同士なのかなと推測します。
そう、友達同士では敬語は使わないですよね。なぜって、敬語を使わなくても問題ない関係なのですから。特に同い年の場合や、同期入社の場合は、相手との距離感が最初からグッと縮まっているので、敬語で距離を取る必要がないからです。
しかし上司や先輩には基本的に敬語を使いますね。
それはタメ語を使って、相手との空間を強引に縮めていってはマズい関係だからです。
つまり相手への敬意を表し、適度な距離感を保つことが必要な場合に敬語を使うのです。
正しい敬語、なのに間違った使い方
私たちは瞬時に相手との距離間を取るべく、言葉の使い分けをしていきます。しかし、この敬語が時に大変失礼になるときがあるのです。
私の友人に言葉遣いが大変丁寧な女性がいました。
子どもを通して知り合い、双方の自宅にも遊びにきて、家族ぐるみでのお付き合いが始まりました。お互いの年齢も近く、子どもも同い年だったので、私と彼女はすぐに親しくなったのです。
道で偶然会ったときには、「●●ちゃん、元気?またお茶でもしようね」と声をかけました。
すると彼女は、
「お久しぶりです。お元気でいらっしゃいますか?ご無沙汰しております。ぜひまた遊びにいらしてくださいね。」との答え。
あまりにも私との会話の温度が違い過ぎて、タメ語で話しかけて失礼だったかしらと思いました。
まだ知り合ってそれほど経っていないし、礼儀正しい女性だから、こういうものかなと思っていました。
しかし3年たっても彼女は、私と会うと、まるで初対面かのような接し方をしてくるのです。
「お元気でいらっしゃいましたか?お子様もずいぶんご成長なさったのではないですか?」と。
何年たっても何度会っても、いつでも丁寧過ぎる敬語を使う彼女。
そのうち私は彼女との心の距離をものすごく感じるようになり、次第に疎遠になっていきました。
彼女はもしかしたら『他人とは絶対に敬語で話さなければいけない』と教えられてきたのかもしれません。
しかし、コミュニケーションとは相手ありきのものです。空気を読むことが必要になってきます。
相手の温度と少しずつでも近づけていくようにすることが大切なのです。
いくら敬語を正しく使っていても、状況に応じて空気を読んで、敬語の使い方を変えていかなければ、それは間違ったコミュニケーションになってしまうのです。
モテる人の言葉遣い
つまり、正しい敬語であれば、どんな場面でもふさわしいというわけではありません。
モテる人はその使い分けを上手にしているのです。
1.相手との距離感を取るのが上手2.タイミングを見て、くだけた会話にしていく3.温度感を同じにしている一つずつ見ていきましょう。
相手との距離感を取るのが上手まだ知り合ったばかりの相手やビジネスの相手であるような場合、ある程度の距離感が必要です。
最初からグイグイと相手の心理的空間に入り込んでいっては、警戒されますし不信感にもつながります。
敬語を上手く使いながら、適度な距離を取ることで、心地よさを与えることができます。
タイミングを見て、くだけた会話にしていく相手が心を開いてきたタイミングで、少し会話を崩していくことでグッと距離が縮まります。いつ心を開いたかを見極めるのが重要ですが、これはよく観察していればわかることです。
相手の身体の向きが自分の方に向いてきた、笑顔が増えた、会話にリズムがついてきた、などです。
このような心が開いてきたタイミングを見て、親しみある言葉を使うことで、親近感が芽生えます。
温度感を同じにしている
モテない人は、相手との温度感を重要視していない傾向があるようです。
わかりやすい例で見てみると、ポンポンポンとリズム良く会話していくLINEは、お互いの温度感が大きく影響します。
軽快なリズムで送られてきたLINEに対し、ガチガチの敬語を使った堅苦しい文章を送ったら、温度感に違いが出ますね。
会話も同様です。目には見えませんが、感じることのできる温度感、空気感を読んでそれに合わせていくことのできる人が好感を持たれることが大変多いのは確かです。
モテる言葉遣いを体得するには
この3つのポイントを体得するには、相手を観察すること、が大切です。
私たちCAはいつでもお客様を観察し、相手に合わせる訓練を日々してきましたので、どんな人とでも会話をすることができるのだと思います。
言葉遣いだけではなく、言葉の使い方をほんの少し意識してみてください。きっと人間関係に潤いが生まれますよ。