DeNA関根、メキシコWLで初の決勝打 打率7位浮上も貪欲「また上げていけるように」

ヤキス・デ・オブレゴンでプレーしているDeNA・関根大気【写真:球団提供】

気温10度以下の寒さの中、延長10回に勝ち越し左前打を放つ

 メキシコのウインターリーグに参加し、ヤキス・デ・オブレゴンでプレーしている横浜DeNAベイスターズの関根大気外野手が4日(日本時間5日)、敵地で行われたアギラス・デ・メヒカリ戦に「1番・中堅」でフル出場し、延長10回にメキシコでは初となる決勝打を放ち、チームを5連勝へと導いた。5-4で勝利したオブレゴンは後期リーグ6勝3敗とし、単独2位に浮上した。

 関根はこの日、6打数3安打、1打点、1盗塁。打率もリーグ7位の.315まで上昇。出塁率も同7位の.393とし、得点はリーグトップに1差に迫る同2位の34得点。盗塁も14に増やし、同単独2位に浮上した。

 気温10度を下回る寒さの中で、試合を決めた。4ー4で迎えた延長10回表。関根は2死一、二塁のチャンスで打席に立つと、2ストライクと追い込まれながらも左前に決勝適時打。吐く息が白くなる中、4時間41分の試合にケリをつけた。

 試合開始は午後7時半。試合終了は日付が変わった後の0時11分だった。打った相手はメキシコ代表歴があり、2017年WBCではメキシコ代表の予備登録投手にも選ばれているマリオ・メサ。150キロ超の速球を武器にする相手は3球続けて直球を投じたが、関根に軍配が上がった。8回には1死一、三塁のチャンスで投ゴロに倒れていた関根だが、次の打席でしっかりとベンチの期待に応えた。

「直球が速いという意識で打席に入った。1球で捉えられたらと思っていたので、思い通りにはいかなかったですが、追い込まれた後、なんとか打てた。(メヒカリは)寒いところで、まだ週の前半ですし、金曜日は移動ゲームになるので、(延長で決着が付かず)投手をたくさん使わなくてもいいように、1イニングでも早く終わらせられたらと思っていた」

飛行機とバスで約8時間のハードな行程、麻薬取り締まりの荷物検査も経験

 カリフォルニア半島の付け根にあり、アメリカとの国境に位置するメヒカリは盆地となっており、同リーグ10チームの中で最も寒い場所にある。冬は気温が氷点下となることも珍しくない。今回の遠征で、オブレゴンの選手たちは移動日の2日に飛行機とバスに分かれてメヒカリに移動。空路も直行便がないため、レギュラー陣は飛行機とバスを乗り継ぎ、約8時間かけてメヒカリ入り。一部の控え選手や監督、コーチ、裏方らバス組は日曜の試合後、夜行で約13時間かけてメヒカリに入った。

 同リーグが開催されているメキシコ北西部はアメリカへの麻薬の通り道になっていることから、軍による検問が頻繁に行われており、バス組は道中で2度、検問を受け、深夜に全選手の荷物検査を命じられるなど、ハードな行程だった。チームは今後、5日の試合後にも再び飛行機とバスに分かれてオブレゴンに戻り、そのまま試合というハードスケジュールが待っており、気温が低い中での体力消耗、そして延長戦での投手陣の消耗を少しでも避けたい中での、関根の一打だった。

 日本でも3月のオープン戦で気温が低い中での試合は経験しているが、試合会場が変わることで気温の変化をこれほど感じることはこれまでなかったという。「オブレゴンは涼しいくらいだった。同じ時期でこれだけ気温が違うということはなかったので、いい経験になっています」。この日は試合前のアップにより時間をかけて準備。試合途中からはユニホームの下にタイツを履いてプレーし、寒さをしのいだ。

 当初は1割しかなかった打率も.315まで上昇してきたが、まだまだ今の数字に満足することはない。関根は「ここまで上がってきたことは嬉しいが、シーズントータルで考えないといけない。明日が大事。仕留めたい球を仕留められなかった打席もあるので、それをどうやって減らしていくか。考えてやっていけば、結果的に良くなっていくと思うので、またカード毎に上げていけるように頑張りたい」と、どこまでもどん欲だ。

 前期リーグを首位で折り返したチームは、後期リーグでも単独2位に浮上。関根は「上位で試合ができるのはすごく嬉しいこと。日本よりもシーズンが短いので、その緊張感のある短期決戦の中でいろんなものを感じられる。その中で、チームが勝っている中でやれているのはすごく嬉しいですね」と、勝利の喜びをかみしめていた。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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