「火の怖さ」絵本で発信 横浜市消防局職員らが制作

絵本「みんな森の仲間とオオカミのサイレン」

 子どもたちに火災の怖さを知ってもらうため、横浜市消防局の職員が中心になり、絵本を制作した。動物の消防隊が森で起きる火災を消し止め、注意を呼び掛けるストーリーを考案。住宅火災の原因で多いこんろや火遊びを題材に選んだ。原作者は「子どもや保護者に、ちょっとした不注意が原因で大切なものが燃えてしまう怖さを理解してもらえたら」と期待している。

 絵本「みんな森の仲間とオオカミのサイレン」は、パンダ隊長の指揮する「キッズ消防隊」が主人公。森で起きる住宅火災や森林火災を消火し、自宅でこんろをかけたまま放置したリスや、たいまつで追い回すいたずらをしていたオオカミを注意する内容だ。

 原作者は、市消防局予防部長の名取正暁さん(57)。戸塚消防署長時代に、防火の大切さを子どもたちに伝えるため、管内にある市立川上保育園(同市戸塚区)とキッズ消防隊を考案。動物たちが音楽に合わせて踊る動画をインターネットにアップし、人気を得た。

 そこでキッズ消防隊が活躍する朗読劇も作り、市内の幼稚園や保育園で披露していたところ、絵本化を希望する声が上がり、公募で選ばれた野毛印刷社(中区)が発行した。イラストは、絵本作家の福ヨシトモさんが担当。名取さんは「読み聞かせを通し、子どもや保護者に家庭での火災予防について学んでもらえれば」と話している。

 絵本はA4判32ページで、防火のポイントをまとめた別冊付録も付いて1400円(税抜き)。119番の日にちなみ、11月9日から有隣堂書店などで販売しているほか、野毛印刷社の公式サイトや大手通販サイト「アマゾン」でも扱っている。

© 株式会社神奈川新聞社