体操・内村 親子50組と大運動会「体動かす楽しさ知って」

「五輪に出られない自分は考えられない」と語る内村=三菱重工総合体育館

 体操男子個人総合で五輪2連覇中の内村航平(リンガーハット、諫早市出身)が8日、長崎市の三菱重工総合体育館で「内村航平大運動会IN長崎」を開き、長崎県内を中心に全国から集まった親子50組とともに、楽しく体を動かした。

 内村が所属するリンガーハット(東京・佐々野諸延社長)主催。内村の出身地と同社の創業地が同じ長崎という縁から、過去2回の体操教室に続いての地域貢献イベントとなった。

 参加者は赤、青、黄、緑の4チームに分かれ、綱引きや障害物リレーなどに挑戦。親子で協力しながら、計6種目の総合得点を競った。内村は主に、各チームの“助っ人”として参加。途中で世界レベルの美しい前転や前方・後方宙返りなどの実技披露もあり、会場は大いに盛り上がった。

 総合1位は黄チームが獲得。表彰式で内村から優勝旗を受け取った大村市立竹松小2年の吉田龍生君は「綱引きが楽しかった。内村選手は格好良くて、会えてうれしかった」と喜んでいた。

 毎年恒例になってきた地元で年に1度のイベント開催。内村は「長崎弁を聞いて、楽しく体操ができていた昔に返れるようで自分にとってプラス」と語り、参加した子どもたちの笑顔に「体操に限らず、体を動かす楽しさを知ってもらえたらうれしい」と満足そうだった。

 ■内村はイベント終了後に報道陣の取材に応じ、東京五輪イヤーとなる来年の抱負などを語った。

 -2019年を振り返って。
 (けがが続いて)「痛(い)」の一文字だった。年明けに「安心安全」の「安」を色紙に書いたけれど、真逆だった。これまでの体操人生で、ここまでうまくいかなかった年はなかった。でも「神様は越えられない壁(試練)は与えない」という言葉がある。致命的なけがではないから、実際そうなんだろうと感じている。

 -けがの状況は。
 相変わらず(肩の治療で)病院に通っているが、けっこう練習は積めている。ただ、強度が高くなってくると、まだ痛みが出る。完治することはないけれど、うまくだましだましはできている。理想のコンディションと比較すると、気持ちの面なども含めて、まだ50パーセントくらい。

 -4月の全日本選手権まで、これから約4カ月間のイメージを。
 2月には(自分の状態を)70~80パーセントまでもっていくつもり。2月までは演技一つ一つの質、体力の向上をメインでやって、それ以降は演技の質を上げる練習をしていきたい。2月までで、どこまでいけるかが見えてくるように思う。

 -来年の目標を。
 東京オリンピックしかない。出ることを前提に、すべて考えて行動している。1分1秒を無駄にせず、オリンピックが終わるまで、常に体操のことを考えて過ごしていきたい。強かった今までの自分は、無心で体操をやれていた。来年は、そこに返れればいいかなと思う。

参加した親子と一緒に綱引きをする内村(右から3人目)=三菱重工総合体育館

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