IMSA:女性のみのラインアップから一新。MSR、2台目のNSXにパレンテ迎える新布陣

 ハインリッヒャー・レーシングは2020年シーズンも引き続きマイヤー・シャンク・レーシング(MSR)との関係を継続するが、来季に向けて、ミシャ・ゴイクバーグと元マクラーレン・ワークスドライバーのアルバロ・パレンテを起用する新たなドライバーラインアップを形成する。

 ハインリッヒャー・レーシング・LLC・ウィズ・マイヤー・シャンク・レーシングのバナーの下、MSRの2台目として2019年シーズンのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦した57号車アキュラNSX GT3。

 GTデイトナ(GTD)クラスを戦った同車には、キャサリン・レッグをはじめ、シモーナ・デ・シルベストロ、クリスティーナ・ニールセン、ビア・フィギュエイレドら、女性ドライバーが全戦にわたって搭乗した。

 しかし、チームと2年契約を結んだとされていた主要スポンサーのキャタピラー社が、早期に支援を打ち切ったことによって2020年は“オール女性ドライバー”とは異なるラインアップが組まれることとなった。

 そんななかで明らかにされたのが新加入のゴイクバーグと、2年ぶりにチームに復帰するパレンテのレギュラードライバー起用だ。

 また、MSRのエースカーである86号車NSXで2019年のGTDクラスチャンピオンを勝ち取ったトレント・ハインドマンが、ミシュラン・エンデュランスカップでの第3ドライバーとしてチームに残留することが決まり、開幕戦デイトナ24時間レースでの第4ドライバーには、長年に渡ってMSRとの関係が続くA.J.アルメンディンガーが起用されることがアナウンスされている。

 一方、昨シーズンの大部分で57号車NSXをドライブしたレッグとニールセンは既報のとおり、GRTグラッサー・レーシング・チームとともに新たに結成されたGEARレーシングのGTDプログラムに参加することが決定済みだ。

「私は2019年シーズン、オール女性チームを立ち上げ北米スポーツカーシリーズのフルシーズンに挑戦したことを誇りに思っています。同時に、このスポーツにプロの女性レーシングドライバーが競争力を発揮できる場所であることを証明しました」と語るのは、ハインリッヒャー・レーシングのオーナーであるジャッキー・ハインリッヒャー。

「我々はキャタピラー社が最初のシーズンでの立ち上げをサポートしてくれたことに感謝しています。予期していなかった、彼らのIMSAからの離脱によって女性ドライバーたちは別のメーカーチームに移ることになりましたが、彼女たちがセカンドシーズンに向けて、ラインアップを維持できることをとてもうれしく思うわ」

■復帰のパレンテにチームオーナーも期待寄せる

 ベテランGTドライバーのパレンテは2018年に、レッグとともにMSRの86号車NSXをドライブした経験を持つ。この年、パレンテはシーズンの大部分をこのコンビで戦いレッグをランキング2位に導く活躍をみせたが、IMSAシリーズへのフル参戦は2020年が初めてとなる。

 そんなパレンテの新たなパートナーとなるのは、シルバーランクドライバーのゴイクバーグだ。彼は近年、JDCミラー・モータースポーツのプロトタイプカーをドライブしてきたが、2020年はGTDクラスへと戦いの場を移すこととなった。

 チームの共同オーナーであるマイケル・シャンクは、ハインリッヒャー氏が2020年のプログラムをまとめるため、懸命に働いたと語った。

「ジャッキー(・ハインリッヒャー)はモータースポーツで“何を達成したいのか”という明確で長期的なビジョンを持った数少ない女性リーダーのひとりだ」

「今季はスポンサーであるハインリッヒャー・レーシングのために表彰台や勝利という結果に焦点を当てている。このラインアップならそれを実現できるはずだ」

全戦を女性ドライバーのラインアップで戦った57号車アキュラNSX GT3。2020年は一新した布陣で勝利を狙う。

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