重臣屋敷の石垣を公開 人吉城跡で発掘現場見学会

重臣の屋敷と外部を隔てた石垣について説明を聞く参加者たち=人吉市

 人吉市教育委員会は7日、熊本地震で被災し解体した旧市役所庁舎跡(同市麓町)の発掘現場で見学会を開いた。敷地は国指定史跡の人吉城跡にあり、人吉藩重臣の屋敷の石垣跡などを公開した。

 発掘調査は昨年7~11月までと今年10~12月に実施。今回は江戸時代中ごろの「人吉城大絵図」に描かれた、藩の重臣・森平左衛門の屋敷と大手門付近の境界線が石垣だったことなどが確認された。

 説明会には約40人が参加。学芸員の岸田裕一さん(38)が絵図を参考に、発掘場所が当時の重臣たちが住む区域だったことなどを説明。旧庁舎の地下の発掘では「江戸時代中ごろの地層が、工事で壊されずに残っていたのは大きな発見だった」などと話した。

 歴史に興味があるという同市浪床町の坂本福治さん(82)は「石垣の話など意外なことも多く、出土した陶磁器なども珍しかった。昔の生活を想像できる」と話していた。(吉田紳一)

熊本日日新聞 2019年12月8日掲載

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