宇宙船でにぎわうISS。ドラゴン補給船とプログレス補給船が相次いで到着

2019年12月8日と翌9日(日本時間、以下同様)、スペースXの補給船「ドラゴン」とロシアの補給船「プログレス」が、相次いで国際宇宙ステーション(ISS)に到着しました。

■ただいま5つの宇宙船がISSに係留中

現在ISSには今月打ち上げられたドラゴン補給船とプログレス補給船に加え、7月と9月に打ち上げられた宇宙船「ソユーズ」が2機、11月に打ち上げられたノースロップ・グラマンの補給船「シグナス」が1機の合計5機が係留されています。

ISSの様子を随時更新しているNASAのCGでも、ISS前方のドラゴン補給船から最後尾のソユーズMS-15まで、5機の宇宙船でにぎわう様子が再現されています。

■ドラゴンとプログレスはドッキング方法が違う

宇宙開発に詳しい方はご存知のことと思いますが、今回相次いでISSに合流したドラゴン補給船とプログレス補給船は、それぞれ異なる方法でISSに係留されています。

ドラゴン補給船は、ISSに十分近いところまで接近すると、宇宙飛行士が操作するISSのロボットアーム(通称カナダアーム2)によってキャッチされ、日米欧のモジュールで使われている「共通結合機構(CBM)」を介してISSに結合されます。

CBMは、もともと宇宙ステーションのモジュールどうしを結合するためにNASAで開発された結合機構であるため、宇宙船が自動でドッキングすることには使われていません。この「ISSに近付いてからロボットアームにキャッチされ、CBMで結合される」という方法を採用したのはJAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙ステーション補給機「こうのとり」が最初で、その後ドラゴン補給船やシグナス補給船にも採用されています。

いっぽう、プログレス補給船は、ISSのロシア区画で使われているドッキング機構「APAS」自動でドッキングすることができます。APASはロシア区画を構成するモジュールの組み立てにも採用されており、自動ドッキングシステム「クルス」と組み合わせることで、無人の宇宙船でもドッキングすることが可能となっています。

APASはソユーズ宇宙船とプログレス補給船に採用されているほか、以前運用されていたESA(欧州宇宙機関)の補給船「欧州補給機(ATV)」でも使われていました。

■米企業が開発中の宇宙船は自動ドッキングが可能

なお、現在スペースXとボーイングでそれぞれ開発が進められている宇宙船「クルー・ドラゴン」「スターライナー」では、近年策定された「国際標準ドッキング規格(IDSS)」を採用しています。

この規格はロシアのAPASのように自動ドッキングにも対応しており、今年2019年の3月に実施されたクルー・ドラゴンの無人飛行テストでは、ISSに設置された「国際ドッキングアダプター(IDA)」へのドッキングに成功しています。

Image Credit: NASA
Source: NASA
文/松村武宏

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