異業種“しゃべり場”に乾杯 波佐見「朝飯会」通算200回 まちづくりの源泉、常連ら祝福

通算200回目の朝飯会を乾杯で祝う参加者たち=波佐見町

 月に一度、多種多様な職種の人が長崎県東彼波佐見町に集い、朝食をとりながら自由なテーマで語り合う「朝飯会(ちょうはんかい)」は7日、通算200回目を迎えた。記念交流会には町内外から常連やゆかりの約100人が参加。多くのアイデアやつながりを生み、まちづくりの源泉でもあるユニークな“しゃべり場”の節目を祝った。

 波佐見焼振興会の児玉盛介会長が主宰。毎月第1土曜の午前6時半から、主に同町井石郷の「西の原」で開く。窯業、農業、金融、教育、行政、観光、マスコミなど職種はさまざま。年齢層も学生からリタイア組まで幅広い。町外からも参加があり、多いときは50人近く集まる。

 参加者は指名された順に、3分程度のスピーチをするのがルール。最近読んだ本の感想、家族の面白エピソード、仕事の苦労話、健康にまつわる豆知識…。テーマ選びは種々雑多だ。県立大副学長の古河幹夫さんは「休憩もなく、延々としゃべり続けるだけの会合に、初めて参加した人はみんな驚く。だが互いの話を聞き、喜びや悲しみを分かち合う時間に不思議な魅力を感じて、また来てしまう」と語る。

 2003年に町内のすし店で始まったが、源流は1980年代までさかのぼる。焼き物卸業の深澤清さんが仲間に声を掛け、自宅で開いた「早起き勉強会」が前身という。5~6人程度だったメンバーは徐々に増え、まちの将来について議論を交わす場になった。深澤さんは「平成に入り、地場産業の波佐見焼が衰退していく予感があった。情報交換の場を設ければ、地域の再生につながると考えた」と振り返った。

 一瀬政太町長も、当初から顔を出す一人だ。朝飯会を「まちづくりのシンクタンク」と評する。「多様な意見をじかに聞く機会がある私は、町長として恵まれている。波佐見が官民一体となって、今の勢いに乗れたのは、間違いなくこの場所のおかげ」と感謝する。

 200回目には、おなじみの顔触れに加え、転居や転勤などで遠のいていたかつての常連も駆けつけ、全員で乾杯。講演や創作劇の上演もあり、にぎわった。児玉会長は「ここでは頭のいい先生も、えらい政治家も関係ない。肩書を離れて、一人の人間として語る場だから面白い」と話した。

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