完全養殖クロマグロ 五島から全国へ 正月控え出荷本格化

水揚げしたクロマグロを計量する従業員=長崎県五島市、玉之浦湾

 正月用の食材として関東地方などで人気のマグロ。長崎県五島市の養殖場では今月から出荷が本格化し、丸々と育った40~50キロほどのクロマグロが次々と釣り上げられている。氷詰めして全国各地に送られ、デパートなどの店頭に並ぶ。

 五島市玉之浦町の「ツナドリーム五島」は卵のふ化、稚魚の育成、産卵のサイクルを人工的に行う「完全養殖」を手掛ける。年間を通じて成魚を「近大マグロ」のブランドで出荷したり、幼魚ヨコワを全国の養殖業者に販売したりしている。

 12月の出荷量は他の月の2~3倍。10日も2016年夏にふ化したクロマグロ40匹余りを水揚げした。従業員は、いけすに横付けした作業船から針を付けた餌を投げ込み、釣り上げたマグロの鮮度を保つため素早く血抜きや神経締め、内臓の除去をして氷漬けにした。

 同社のクロマグロは昨年の県品評会で、最優秀賞に選ばれた。中村光辰所長代理(43)は「改良を重ね、年々良いマグロが育っている。色鮮やかで味にコクがある赤身がうまい」と自信をのぞかせた。

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