相模原市は今月、市民の間に“地域愛”を醸成する「シビックプライド条例」の制定を目指し、有識者らでつくる検討委員会を立ち上げた。初回の会合では、愛着の薄さが浮き彫りになった民間の調査結果を市側が報告。現状を変えるため、委員が活発に意見を交わした。
「なぜ、市民の地元愛着度が周辺自治体よりも低いのか」
4日夜の初会合。民間会社の実施した調査結果が報告されると、委員から思わずため息が漏れた。
調査では、住民に永住希望や自治体への共感などを尋ねた結果、相模原は下位だったという。
委員の一人で、読売広告社ひとまちみらい研究所の北村俊明所長は、都市のイメ-ジや知名度を高めるシティ-プロモ-ションに力を入れている自治体で「愛着や誇りを感じる住民が多くなる傾向がある」と述べ、「誇りが高まるには時間が掛かり、市の在り方をどうデザインするかが大事になる」と継続的な取り組みの必要性を説いた。
同じく委員で、藤野観光協会の佐藤鉄郎事務局長は、同市緑区の藤野地域で進む、芸術を中心に据えた地域づくりを紹介。「藤野に住みたいと考えて移住する芸術家や若い世代が多い。都市と自然がうまく組み合っている市の魅力をPRしてみては」と提案した。
その他の委員からも「全国的に有名な観光名所がなくても、ランキングの高い自治体の取り組みを参考にしては」「相模原のファンサイトを作るのなら、多くの人が集える場所があったほうが良い」といった意見が出された。
検討委は公募の市民や学生、専門家ら8人で構成。今後、定期的に会合を開き、条例の基本理念などについて話し合う。
市が目指す条例は、理念を定め、誇りを持てる街づくりを市民に呼び掛ける内容で、権利や義務を定めるものではない。2020年12月に、市議会に提出したい考えだ。