『#忘年会スルー』も結構ですが、当日ドタキャンされる飲食店のダメージも知るべき この「損害」をあなたはどう考えますか?

写真はイメージです

「忘年会スルー」がトレンドになっています。

自費参加で勤務時間外に拘束される職場の忘年会に疑問を持つ若者が「忘年会スルー」というハッシュタグをつけたのがSNSで炎上し、NHKニュースでも報じられています。一方で、忘年会の予約を入れた客が来なかったり、ドタキャンされたりして損害が出る飲食店が悲鳴を上げています。

都営新宿線の曙橋駅近くにある定食酒場食堂の天野雅博さんに忘年会ドタキャン事情を伺いました。

自衛隊員のドタキャン

予定の時間を過ぎても来店しない忘年会予約客の携帯電話に連絡したところ、「予約していません」との返答を受けたそうです。「何者かが貴方の名前と電話番号を使用して当店に予約したようでしたら、警察に被害届を出します」と天野さんが伝えて、電話を切りました。すると、「それは困ります。私が予約しました。申し訳ございません」とコールバックがあったそうです。そして、予定時間に2時間遅れて来店。

同店は防衛省と機動隊基地の近くにあるので、自衛隊関係、警察関係者の団体客も多いそうです。

「予約の電話で、警察の方は分かりますね。『今から5名だけどイイ?』と偉そうなのです。ただ、当日予約なのでドタキャンはほとんどありません」(天野さん)

一方、自衛隊はドタキャンが少なくないようです。

「台風などの緊急時は仕方がないかもしれません。でも、そういう事情もないのに、先日、34人の忘年会のグループが前日にキャンセルしてきました。理由を尋ねると、『他の会場が見つかったので』だそうです。他のお客様を断って、席をキープしてきたお店の損害はどうしたらよいのでしょう。と尋ねても『分かりません』。そういうお客さんは二度とお店に入れません。出禁にします」(天野氏)

出ていけ! 出禁だ!!

筆者が同店で会食をしていた際には、一人の男性客を天野さんが詰めていました。

「貴方、お友達とジンギスカンをウチで食べて、『美味しいから忘年会予約します。』と日時をおっしゃったので、席を空けておきました。それなのに、ジンギスカンが苦手な女性がいるから忘年会をキャンセルしますって。その女性はジンギスカンを食べたことあるんですか。食わず嫌いで断るなら、最初から予約を入れないで下さい。もう貴方は出禁です!」(天野氏)

男性客は忘年会をキャンセルしたお詫びに一人で日を改めてお店に来店したようです。お酒と料理を出していたので、男性は料金を払おうとしたものの「代金は要らない! 出てけ!」と天野さんの怒号が店内に響き渡りました。キャンセル料はとらずに出禁にする主義のようです。

『お客様は神様』と崇められて、増長した客に反省を促すための考え方を天野さんはお持ちでした。

「飲食店がドタキャン客のブラックリストを共有化する組合を作ったら良いと思います。ブラックリストに載ったら、飲食店に入れなくなる。コンビニや吉野家ともリストを共有したら、ドタキャン客は何も食べることができなくなります。」(天野氏)

その実現に向けて、偽客引き被害に遭っている鳥貴族の大倉忠司社長に対談を申し込みしていますが、未だ成立していません。忘年会のシーズン、くれぐれもブラックリストに載らないように気をつけて下さい。(取材・文◎九頭龍腐流腐流)

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