三菱重 香焼工場売却検討 生産体制縮小 大島造船所と交渉

三菱重工業が大島造船所へ売却を交渉している香焼工場=2017年12月、長崎市香焼町

 三菱重工業が長崎造船所香焼工場(長崎市香焼町)を売却する方向で大島造船所(西海市)と交渉していることが12日、関係者への取材で分かった。主力の液化天然ガス(LNG)運搬船の受注環境が厳しく、生産体制を縮小する。
 大島造船所はバルクキャリアー(ばら積み貨物船)増産に向け、香焼工場受け入れに前向きとみられる。売買する工場の範囲や金額、時期については調整している。三菱重工は近く方針を決めるもよう。同社広報は「決定した事実はない」としている。
 香焼工場は1972年完成。長さ1キロの国内最大級ドックは、つり下げ能力1200トン1基、600トン2基の門型クレーンを備え、通称「100万トンドック」と呼ばれている。
 これまでLNGや液化石油ガス(LPG)の運搬船を連続建造してきた。だが韓国企業の低価格攻勢を受け、LNG船は2015年12月を最後に受注が途絶え、残る1隻を今年9月に引き渡して以降、手持ち工事はなくなった。
 一方、本工場(長崎市飽の浦町など)では艦艇やフェリーの建造を継続する。中小型客船建造や客船修繕の拠点化も視野に入れている。
 三菱重工は17年、大島造船所など造船専業3社と商船事業で提携していた。

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