日本の山岳環境に合ったウェアを!カリマーの新レーベル【ultimate】のインサレーションウェアに注目 2019年A/Wに始動した<カリマー>の本格アルパインレーベル[ultimate]。日本人トップクライマーとの共同開発で生まれたテクニカルウェアから、厳冬期にも使えるインサレーションウェアをご紹介します。

カリマーが新たに挑む「ultimate」シリーズ

アルピニズム発祥の国、イギリス・ランカシャーで1946年にサイクルバッグメーカーとして創業した<カリマー>。ゼロから作りあげていくという哲学をもとに、70年以上にわたり挑戦をし続けているメーカーです。

その歴史を更に新たな道へとつなげるために、ブランドの総力を挙げてトップクライマーと取り組んだのが、今回紹介する[ultimate project]。

(画像左上から時計回りに/ultimate、explorer、life、aspire)

カリマーは今回紹介するultimate(アルティメイト)と合わせて4つのレーベルで構成されています。
■登山やハイキング、幅広いシーンで活躍する[explorer(エクスプローラー)]
■暮らしやトラベル、ビジネスでも使えるカジュアルライン[life(ライフ)]
■実用性と美しさを追求する<カリマー>初のファッションライン[aspire(アスパイア)]
■極限を追求するテクニカルライン[ultimate(アルティメイト)]

日常生活からハードなクライミングまで、全てのレーベルがさまざまなフィールドにおいて「移動装備の拡張」を目指し、プロダクトを開発しています。

その中でもultimateシリーズは、”ultimate=極限“という名が表すように、専門性を際立たせたテクニカルラインです。

今シーズンのターゲットは「冬季アルパインクライミング」

ultimateシリーズ第一弾のターゲットは、厳冬期の”アルパインクライミング”と”アイスクライミング”。「日本の山岳」を見据えた商品ラインナップとなっています。
既存のアルパインクライミング向け商品は、日本人の体型にフィットしなかったり、冬でも湿度が高い日本の気候には適さないという状況がありました。

「日本の山岳で必要とされるもの」を作り上げるために

既存商品のアップデートではない、「日本の山岳で必要とされるもの」を作り上げるために、企画段階からフィールドテストまで一貫して、日本人トップクライマーの成田賢二氏が参加。パートナーとして気鋭の若手クライマー、船山潔氏がフィールドテストに同行しました。

ターゲットとされる日本の山岳のレベルよりも、更にシビアな環境でのテストが必要」という成田氏の意見をもとに、国内での製品テストだけでなく、より厳しい環境を求めてヨーロッパ遠征を敢行。フィールドテストを繰り返す中で、アルパインクライミングに必要な機能やパターンを検証していきました。

極限を追い求める、過酷な環境での商品テスト

さまざまな過酷なフィールドで実際に使用し行われた、性能面でのテスト。氷が少ない時期に訪れたアイガー北壁では、ドライと雪壁のクライミングになりウェアが岩に強くこすれることで耐久性のテストに。激しいスノーシャワーにより防水・防雪に対する確認にもなったとのこと。

さらに、雪山登山のメンヒではマイナス18℃、岩稜帯では風速25mの気温・風ともに過酷な環境で、防風や保温性を体感。タフさが求められるシーンで使うことでこそ、弱かったり壊れやすい部分が実感できウェアのシェイプや素材の配置にも活かされていきました。
現場で感じた不満やストレスのフィードバックを繰り返しサンプルに落とし込んでいったultimateチーム。
日本の山岳で必要とされる日本人の体型に合ったアルパインモデルは、余計なものを削ぎ落とした″機能美”を感じられるプロダクトとして完成しました。

動きやすく、暖かい。[ultimate]のインサレーションウェア

厳しい環境下で、激しく高度な動きが必要とされる厳冬期のアルパインクライミング。今回は、今シーズンのultimateシリーズから、行動中も快適に着られる「インサレーションウェア」を2つご紹介します。どちらもXS~XLまで揃ったユニセックスモデルです。

epic insulation Parka(エピック インシュレーション パーカー)

軽量で優れたストレッチ性のある生地に保温性の高い中綿を封入した、ビレイ向けのウェア。
シーリング加工と優れた防水性に加え、中綿にも耐水性があるのでアイスクライミング時の水濡れや湿気の多い雪山にも安心です!

フィールドテストでは厳寒期でも使える保温性と、かさばらずに動きやすい中綿量を検証しました。高い透湿性をもつ生地がウェア内の蒸れを放出し、行動中も快適に過ごせます。

ポイント①動きやすいパターン設計と高ストレッチ性

高難度のアルパインクライミングには激しいムーブがつきもの。腕上げのしやすさを追求したパターン設計で、広い可動域がスムーズな動きをサポートします。

ファブリックにはストレッチ性の高いPERTEX®shieldを、中綿にはしなやかな特性を持つPRIMALOFT®GOLD insulation activeを採用しているので、優れた伸縮性が体の動きに追従してくれます。ポケット位置はロープやハーネスに干渉しないよう考慮されたデザイン。

ポイント②ヘルメット着用時も快適なフードまわり

ヘルメットをかぶることを想定したフードは大きめサイズ。首振り時の可動域もしっかり確保されたデザインです。
頭頂部の面ファスナーと、後頭部に配されたコードアジャスターでフィット感を調整でき、視界を遮らず雨風が入り込むことを抑えてくれます。

最上部までファスナーを閉めるとゴーグルが曇ったり、呼吸が苦しくなることも。ファスナーの口元内側に通気孔があるのもアルパインクライミング時にはうれしい仕様。
強風や激しいスノーシャワーの際に、ファスナー内側についたボタンを留めることで風を遮りながら楽に呼吸をすることができます。

ポイント③冷気の侵入を防ぐ裾と袖

裾口に入ったドローコードと、リフレクション加工を施した袖口のタブでフィット感を調整し、冷気の侵入を防ぎます。岩や氷壁への引っかかりを想定されるアルパインクライミングでは、ウェアをしっかり体にフィットさせられるのも大事なポイント。

ポイント④パッカブルタイプで持ち運びに便利

胸元のポケットに収納できるパッカブル仕様。アウターとしても使えるボリューム感がありながらコンパクトにたためるのは、復元力が高い中綿ならでは。ループ付きなのでカラビナで携行して、必要な時にさっと羽織ることができます。

vinson insulation jkt(ヴィンソン インシュレーション ジャケット)

よく伸びるファブリックに、伸縮性の高い中綿を極薄に入れた薄手のインサレーションジャケット。体の可動域を考慮した3Dパターンや、フィット感の高いシルエットが難易度の高いムーブも妨げません。行動着にぴったりの薄さと軽さを兼ね備えたコンパクトな一枚です。

ポイント①腕上げも楽々なストレッチ性とパターン設計

表生地にストレッチ性に優れ、軽量ながら高い耐久性を併せ持つPERTEX®Quantumを使い、中綿にも伸縮性の高い素材を採用。ダイナミックなムーブや腕上げ時を想定した立体裁断と3Dパターンが動きに追従します。

ポイント②伸縮性の高い素材でフィット感を高めた袖口

袖口には4方向に伸縮するPOLARTEC®Power Stretch Pro

を採用。手首にしっかりフィットし重ね着しやすいデザインが、冷気の侵入を防ぎます。

ポイント③ハーネスや動きを干渉しないすっきりデザイン

高いフィット感を追求したデザインは、アルパインクライミングに必須のハーネスを装着する際や難易度の高い動きをする際ももたつきません。

ポイント④コンパクトに持ち運べるパッカブルタイプ

左脇ポケットにコンパクトに収納できるパッカブルタイプ。収納袋いらずで楽に収納できます。ループが付いているのでカラビナなどで掛けて携行可能。

ultimateのインサレーションウェアで、より高みを目指そう!

気鋭のクライマーと共に、現場のリアルな声を反映して作り上げられたultimateのインサレーションウェア。すでにアルパインクライミングを楽しんでいる方にはもちろん、これから挑戦する方にはステップアップのアイテムとして是非取り入れていただきたいプロダクトです。

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