トヨタの定額制プランKINTOは人気なの? その真相に迫る

トヨタ自動車、新会社「KINTO」を設立

半年で契約者数は951人。 浸透はまだだが、希望の光も

KINTO

2019年2月から一部地域で、同年7月から全国でサービスが始まったKINTO。この半年で契約したのは951人と、決して多くはない数であった。

ところが、契約者の約4割が2.30代が占めており、既存店舗の利用者と比較しても圧倒的に若い層から支持を得ているのだ。

その理由として挙げられるのは、任意保険料が料金に組み込まれている点にある。どういうことか。読者諸兄も経験があると思うが、年齢が若いと驚くほど高額な保険料を請求することがあり、ここが購入を躊躇してしまう最大のポイントでもあるのだ。KINTOではフリート保険(団体保険)に加入するため、年齢による価格差がないのだ。

これにはもう一つ大きなメリットがある。それは事故を起こしても次年度の保険料が上がらないという点。極端にいえば、何度事故を起こしても毎年同じ金額というわけ。初心者で運転が心配……などの不安要素を払拭してくれるという点が若者にウケているのだ。

KINTO

ちなみにトヨタ ライズを契約した場合、3年残価設定プランで購入すると46,116円/月かかる。(税金やメンテナンス代などの維持費も含み試算)。一方でKINTOの場合すべてコミコミで39,820円/月と、残価設定ローンで買った場合と比べても毎月6,296円安い。一括ですべてをまかなえるので支払いの煩わしさからも開放されるうえ、トータルで考えても安いのだ!

60代以上に人気なのはなぜ?

一方でKINTOの契約者のうち、60代以上は約2割を占めている。その理由とは、契約期間内に免許を返納した人は途中で解約が可能な点にある。通常、途中返却や契約中の解約には違約金などがかかるのだが、免許返納者はタダ。近い将来義務化されると言われる"衝突被害軽減ブレーキ"などのために従来通りに買い換えるよりも、敷居が低いのだ。

販売店の意識は?

細かい内訳があるわけではないが、インタビューしたところ人気なのは東名阪の都市部。それに加えて福岡県といった具合で、東北などの地域での普及・認知はまだまだという。販売店の中には、自社の地域では馴染まないと販売に二の足を踏んでいるところもあるほどだという。そんな中、販売に積極的なのがトヨタモビリティ東京と福岡トヨタだという。この二社ではKINTOのオリジナル商品を販売し、既存のユーザーを中心に開拓中だ。この取り組みに対し、KINTOの小寺社長は「地域ごとの商品を展開するのもいいかもしれない。雪国にはそれに合う仕様、都会には…というように、積極的に販売店と協業したい」とコメント。KINTOの普及には社長のコメントのように販売店との協業がカギとなりそうだ。

クルマ離れに待った! 中古車版KINTOで勝負

サービス開始から約半年、蓋を開けてみれば想像以上に若い世代からのオーダーが多かった。もっと若者にクルマに触れてもらうべく、もっとお手頃価格の中古車版のKINTOを2020年1月より一部地域で試験的にスタートするという。このKINTOの普及により、若者のクルマ離れに歯止めがかかるといいのだが……。

【筆者&撮影:MOTA編集部】

© 株式会社MOTA