月に2日だけ営業するヴィーガンカフェ「天使の時間」を夫婦で運営しているトモコさん。女性が週末にプチ起業するには、どんな仕事が向いていて、どんなものが必要なのでしょうか?
- まずは副業的に週末起業からはじめよう。
- 比較的ローリスクではじめられるのはハンドメイドグッズ販売。
- 副業はさまざまあるが、飲食の仕事はハードルが高い。
- パン屋さんに必要な「お店・工房」「保健所からの営業許可」「パン製造機器」。
パン屋さんのプチ起業のノウハウを伝授
月に二日だけ営業するヴィーガンカフェ「天使の時間」を夫婦で週末開業して8年目。私たちは、玄米が取りもつご縁で結婚したマクロビ夫婦。普通の会社員の夫と主婦の私の二人で、アトピーの子どもたち向けにクッキーやアイスを作ったり、ベジタリアンな料理教室を開いたり、卵や乳製品を使わないケーキを研究したり、と食と健康にまつわるさまざまな活動を続けています。
今回の連載では、そんな私たちの経験をもとに、「食」の分野でユルッとビジネスをスタートする方法、副業で気軽にはじめられるパン屋さんのプチ起業のノウハウについて、お話ししていきます。
私たちがプチ起業したヴィーガンカフェも、実は副業的にユルッとスタートしたお店。そして、それ以前は週末パン屋さんみたいな活動もしていたので、私たちがやってきた経験を交えながらお伝えしていきます。
(副業的に)週末起業からはじめよう
今の世の中、副業ビジネスが花盛りです。「副業」というキーワードでネット検索してみれば、
- インターネット投資
- FX
- 不動産投資
- 家事代行
- 覆面調査員
- オークション転売
- 賃貸住宅経営
- 駐車場シェア
- アフィリエイト
- ハンドメイドグッズ販売
- ユーチューバー
などがオススメの副業として出てくるでしょう。ただ、不動産やFXなどはある程度資金が必要だったり、初期投資がかかるものは大きく稼げる可能性がある反面、リスクも大きいですから、ユルッと気軽にはじめるのには適しません。
この中で、比較的ローリスクで起業できる副業はハンドメイドグッズ販売です。最近は、「マルシェ」とよばれるイベントが地域でたくさん開催されているので、そういった場所に出店して販売すれば、参加費だけではじめられます。
[ 画像が省略されました ]
ならば、私はパンを焼くのが好きだから、パンをマルシェで売ろうかしら。パンやクッキーを売っているのを見かけたことあるし。
オークションサイトやインターネットのフリマなどで販売すれば、売れたときだけ手数料を払う方式なので、材料などのコスト以外はリスクもありません。こういった販売方式ならば、自分の手の空いている時間にグッズを作っておけるので、主婦の副業としても最適です。
[ 画像が省略されました ]
フリマアプリで手作りクッキーを出品しているのを見たことがあるわ。あんな感じで売ればいいのね。
そうですね。インターネット時代の現代では、わざわざお店を構えなくても簡単に手作りのものを販売できる場所がたくさんあります。実際、メルカリでもクッキーや焼き菓子がたくさん出品されていて、けっこう売れています。
でもちょっと待ってください。実は飲食に関わる仕事は、素人がはじめるにはちょっとハードルが高いのです。なぜならば飲食ビジネスをはじめるには、保健所の許可が必要だからです。人が口にするものを扱うのが飲食ビジネスですから、食の安全性を確保するために許可をとらねばならない、と法律で決められているんです。
これが、副業でユルッと飲食業をはじめたい人にとっては大きな壁になります。どんな許可が必要かというと、
- 菓子製造許可
- 飲食店営業許可
のどちらかをとっていないと、パンは売ってはいけないのです。さらに
- 衛生管理責任者
の資格も必要です。
衛生管理責任者は「人」に関するものですが、営業許可は「製造設備」に関わるものなので、許可が取れる設備がどうしても必要になります。メルカリで販売している出品者さんは、実店舗をもっているか、営業許可が取れた工房で製造してい方かのどちらかです。
あれれれ?ユルッとパン屋さんをはじめる話じゃないの?はい。そのとおりですよ。いわゆる「パン屋」さんを本格的に開業するのであれば、ユルッとはいかないのですが、まずは週末起業でお小遣いを稼ぎたい、ということであれば、ユルッとはじめる方法はあるのです。
ただ、法律を守ってやらないと、めんどうなことになりかねませんので、パンを販売するのに何が必要なのかについて、ざっくりとお話いたしましょう
お店・工房
まずは販売の方法によって、お店、または工房が必要です。ユルッと副業パン屋さんでは、リスクの少ないネット通販やフリマサービス、マルシェに出品という販売方法をオススメしますので、工房(製造する場所)になります。
菓子製造許可または飲食店営業許可
パン屋さんの工房は、保健所の下記の営業許可を取得する必要があります。
- 菓子製造業許可
- 飲食店営業許可
のどちらかか、もしくは両方。もし販売するパンが菓子パンだけならば、菓子製造許可だけでOKです。メロンパン専門店みたいなお店ですね。しかしサンドイッチやカレーパンなどもやりたい、となると飲食店営業許可が必要になります。
おなじパンなのにどうして許可が違ってくるかというと、サンドイッチやカレーパンには調理という作業が伴うからです。メロンパンやクッキーは、粉をこねて焼くだけなので、菓子製造。サンドイッチやカレーパンは、具材を調理するので飲食店営業となるわけです。
なのでメロンパン専門店でも生ハムをサンドした惣菜パンもやりたい、となると飲食店営業許可がいる、ということです。
[ 画像が省略されました ]
なるほど!じゃあ製造場所は自宅のキッチンがあるから、そこを工房にして保健所の許可をとればいいのね!
そうですよね。自宅のキッチンで許可を取れれば、とってもローリスクでスタートできますね。ところが自宅のキッチンでは、営業許可を取るのがとても難しいのです。なぜなら、保健所の許可を得るための設備条件は以下のようなものだからです。
- 店舗は営業専用のものとし、住居などとは完全に区画すること
- 調理スペースはコンクリートなどの耐水性材料を用い、排水がよく、清掃しやすいこと
- 換気が十分行われる構造とし、必要に応じ強制換気装置を設けること
- 従業員専用の着替えるためのスペースを設けること
- 従業員が清潔に手洗いをし、消毒する設備があること
- シンクは2槽あること
- 従業員用のトイレを従事者に応じた数を設けること
- 客が使用する便所があること
これによると、住居と完全に区画した店舗専用のキッチンが必要。さらに普通の家庭にはない二層式シンクが必要です。そして店舗専用のトイレも。つまり、住居用とは別に、調理場やトイレなどの水回りが必要になるため、居住中の家のキッチンでは保健所の許可がとれないのです。
【参考】大阪府の飲食店許可取得要件
ああ、もう万事休す!?いえいえ、お金をかけずに、あるいは低予算で営業許可が取れた設備を利用することは可能なんですよ。
パン製造機器
おっと肝心なことを忘れておりました。当たり前ですが、パン作りにはさまざまな機器が必要です。
- オーブン
- ホイロ(発酵機)
- ニーダー(こね機)
生地をこねて成形し、発酵させて、焼き上げるのがパンですから、これらは最低限の機材ですね。ちなみに、これらの業務用機器の価格を調べてみると
- スチームコンベクションオーブン 100万円以上
- ホイロ(発酵機) 40万円以上
- ニーダー(こね機) 10万円以上
という感じになっていて、基本機材だけで最低でも150万円以上かかります。
[ 画像が省略されました ]
うひょーっ!私のへそくりじゃ絶対ムリ!
ですよね。では、中古機材にしてみたらどうでしょう。
- スチームコンベクションオーブン 50万円ぐらい
- ホイロ(発酵機) 15万円ぐらい
- ニーダー(こね機) 5万円ぐらい
総額70万円ぐらいと半額以下になりました!
[ 画像が省略されました ]
そんなのムリにきまっているでしょ(怒)
はい、失礼しました。ユルッと副業ですからね。次回はローリスクであなたのパンを世に問う、ユルッとスタートする週末起業パン屋さんのやり方を解説していきましょう。