横須賀市が特定妊婦支援を開始 簡易で無料検査も 県内初

横須賀市役所

 横須賀市は17日、予期せぬ妊娠や経済的困窮などから出産・育児にリスクを抱えている「特定妊婦」に対する支援事業を始めた。妊婦健診未受診での出産や虐待を防ぐため、無料の簡易妊娠検査の実施や、産科への保健師の同行受診などに取り組む。市によると、財政的支援を含めた特定妊婦への支援は、県内自治体で初めて。

 特定妊婦は、児童虐待防止の観点から、2009年4月施行の改正児童福祉法で「出産後の養育について、出産前の支援が特に必要な妊婦」などと法的に位置付けられた。

 今回の事業は、予期せぬ妊娠や、未婚で未成年での妊娠、メンタルヘルスの不調などから周囲に相談できず、支援が必要な妊婦を対象としている。

 市こども健康課によると、妊婦健診未受診のまま出産をする妊婦は、市内で年間数人~10人程度いるという。妊娠生活や出産に危険が伴うため、支援事業を通じてこうした特定妊婦の存在を早期に把握し、安心して出産・育児できる環境づくりをサポートする。

 支援内容は、保健師が相談を受け、妊娠の疑いがある場合、簡易妊娠検査を無料実施する。検査で陽性の場合、保健師と同行して市が委託した市内10医療機関で、妊娠検査や血液検査をする。この受診費用は国と市が負担する。その後も医療機関と連携して出産まで支えていく。

 上地克明市長は同日の記者会見で、「安心した妊娠生活を送れ、安全に出産できるようサポートしたい」と話している。

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