環境問題への意識が高いベッテル、ビーガン生活も体験

 フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、過去に6週間にわたって菜食を試し、その経験から多くのことを学んだと語った。現F1チャンピオンであるルイス・ハミルトンは2017年から菜食に転向、機会があれば常にビーガンであることのメリットをアピールしている。

 完全菜食主義者であることは、自身の健康に良いだけでなく、動物の世界に対する影響を考慮することにもなるのだとハミルトンは主張している。

 ベッテルは現在ビーガン食を取り入れてはいないものの、2018年に6週間にわたって厳しい菜食ベースの食事制限を行ったことがあるという。

セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)

「実験は6週間にわたり、そこから多くのことを学んだ」とベッテルは『Blick』のスイス人ベテランF1記者であるロジャー・ブノワに語った。

「何をどのように食べるかは自分次第だ。僕は集中的に菜食を試してみたけれど、誰にでも適切な食事というものはない。なぜなら人はそれぞれ違っているし、反応もそれぞれ違うからね」

 ベッテルは、菜食を取り入れることの可能性を否定することなく、自分に合った食事法を選ぶことが重要だと考えている。

「すぐに判断を下すのは好きじゃないんだ。すべてが正しいと言う人もいれば、すべてが間違っていると言う人もいる」とベッテルは付け加えた。

「僕に関して変わったことといえば、今では食べる肉の量を減らして、食品の質に前よりも注意を払うようになった。これはスイスでは比較的簡単なことだ。それから、より多くの野菜を摂るようになったよ」

 ベッテルは私生活を他人に明かさない主義で、ソーシャルメディアにその姿を投稿することはない。しかし彼と親しい人々は、ベッテルは多くのことに関心を持っており、おそらく平均的なF1ドライバーよりも社会的な変化を認識している知的な人物だと見ているようだ。

 2019年の夏、レース後のメディアセッション中にベッテルは、空のミネラルウォーターのボトルを地面に捨てている報道関係者を叱責したというエピソードも伝えられている。

 ベッテルは汚す側になるのではなく、解決する側になろうと努めている一方で、F1ドライバーの生活は、世界的な環境問題と相反していることも自覚している。

「でも僕たちはそうした行動を取るのは避けて、自分たちがどのように貢献できるのか、皆に考えるように促さなければいけない」とベッテルは主張した。

「ひとりひとりにできることがあるし、やらねばならないことがある。適切ではないことには、あまり意識を向けないようにすればいい」

「それよりも、自分で何ができるかということに目を向けるべきだよ。さもなければ、数年後には両目をこすっているようになるかもしれない」

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